2012/08/28 国交省/総合評価方式ほぼ完全実施/11年度、件数ベースで98・7%導入

【建設工業新聞 8月28日 記事掲載】

 国土交通省は、11年度に発注した同省直轄工事の入札への総合評価方式の導入状況(速報値)をまとめた。全体に占める導入割合は件数ベースで99%近くに達し、ほぼ完全実施の状況。技術評価点の最高得点者が落札者になった工事の割合が高水準で推移する一方、最低価格者が落札する割合は減少傾向が続き、技術力重視の入札システムとして総合評価方式が機能していることをうかがわせている。ただ、一部では技術評価点の1位と2位となった入札参加者の得点差が縮まる傾向も顕著になっており、評価項目の見直しなど課題も浮き彫りになっている。
 
 
 全国8地方整備局が発注した工事について総合評価方式の導入状況を調べた。件数ベースで見ると、11年度は発注工事全体の98・7%に当たる計9224件の工事の入札が総合評価方式で行われた。タイプ別では、簡易型が6459件と全体の7割を占め、次いで標準型(I、II)が2764件、高度技術提案型が1件だった。金額ベースでは、合計1兆3955億円の工事の入札に適用。内訳は簡易型6157億円、標準型7775億円、高度技術提案型23億円で、標準型が全体の55・7%と過半を占めている。
 
 
 高度技術提案型は、05~11年度に実施された累計件数が71件(金額2192億円)となった。一般土木、鋼橋上部、プレストレストコンクリートの3工種で累計63件(全体の88・8%)、金額ベースでは2030億円(同92・7%)を占める。11年度は1件の適用にとどまり、拡大が課題となっている。


 落札者の状況をみると、技術評価点の最高得点者が落札した割合は、標準型(WTO対象)で60・0%、標準型(I)で50・0%、標準型(II)で33・3%、簡易型で30・1%。技術評価を重視する度合いが大きいタイプほど高い割合となっている。最低価格者が落札する割合は減少傾向が続いている。ただ、予定価格に対する落札金額の割合(落札率)と、低入札価格調査基準額の割合の差が07年度以降、全体的に縮小する傾向にあり、簡易型と標準型のWTO対象案件では調査基準額に近い価格で落札するケースが目立つ。
 

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