2012/11/22 国交省/情報化施工一般化へ官民の人材養成/導入工事拡大、実践研修に切り替え

【建設工業新聞 11月 21日 記事掲載】

 国土交通省が、情報通信技術(ICT)を導入して高度な施工管理を行う情報化施工に精通する官民の人材を養成する取り組みを強化している。11年5月から中小規模の直轄工事に情報化施工を拡大したことで活用件数が増加。来年度からは一部技術では情報化施工を一般化することもあり、機器を使いこなせる人材の養成が必要と判断。地方整備局でも今年に入って座学形式から実習形式へと研修・講習会の内容を切り替える動きが本格化している。
 
 
 同省が11年度に情報化施工を活用した工事の件数は10年度の約1・5倍に当たる618件(10年度は427件)。内訳は、13年度に一般化を目指す「MC(マシンコントロール)技術(モーターグレーダー)」が71件(10年度55件)、「TS(トータルステーション)を用いた出来形管理(土工)」が372件(同225件)、実用化を検討中の「MC/MG(マシンガイダンス)技術(ブルドーザー)」が45件(同36件)、「MG技術(バックホウ)」が40件(10年度実績20件)、「TS・GNSS(衛星測位システム)を用いた締め固め管理」が90件(10年度実績91件)となっている。
 
 
 活用工事の増加に伴う課題が、情報化施工に対応できる民間側の技術者と、施工を管理する地方整備局の職員の確保。同省は特に民間側の人材養成が急務とみている。日本建設機械施工協会(JCMA)が行っている研修・講習会への参加者は、11年度までの累計で736人。特にモーターグレーダーのMC技術と土工のTS出来形管理は13年度から直轄工事で一般化するため、対応できる人材を一定量、早期に養成する必要がある。国交省は、日本政策金融公庫の「企業活力強化貸付制度(IT活用促進基金)」の活用も周知。人材養成に加えで機器の調達も後押しする。


 こうした動きを受け、今年に入って研修・講習会の形式も机上から実践に移ってきた。各地方整備局主催の研修・講習会に参加した職員は11年度時点で累計3852人に達しているが、国交省は「機器をただ使えるという人材から、使いこなせる人材の養成が急務」と判断。これまで情報化施工の概要や要領の説明にとどまっていた講習会の内容を、TS出来形管理の機器設置から計測までを行うなど実技形式に切り替えた。

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