2014/1/6 太田昭宏国交相インタビュー/五輪後見据え国土づくり/インフラ老朽化対策充実

【建設工業新聞 1月 6日 1面記事掲載】

太田昭宏国土交通相は日刊建設工業新聞など建設専門紙各社の年頭インタビューに応じ、2020年東京五輪開催後も見据えた長期的視野で、災害に強く、高齢者が住みやすい国土や都市づくりを進める決意を語った。昨年を「メンテナンス元年」として取り組んできたインフラ老朽化への対応などでの建設業の役割にも言及。企業の安定経営を実現する上でも「将来を見通せる公共事業の予算措置が必要だ」と訴え、若者が誇りを持って活躍できるようにする仕組み作りにも力を入れていく考えを示した。

国交省は昨年10月、太田国交相の肝いりで2050年を照準にした新たな国土のグランドデザインの検討を始めた。太田国交相は「3月ごろには策定する」と表明。人口が1億人を下回り、少子高齢化が一段と進展することや、発生が予測されている南海トラフ巨大地震や首都直下地震などを踏まえ、災害に強く高齢者が住みやすい国土を、今後の国土づくりの方向性として示した。

56年ぶりに開かれる20年東京五輪については、1964年の前回大会と違ってパラリンピックも行われることを考慮。関連施設のバリアフリー化に力を入れる考えを示した。訪日外国人の交通・宿泊の快適性確保なども課題に挙げた。その上で、「20年をゴールとするのではなく、新たな街づくりに向けた助走期間にする」と述べ、五輪を新たな街づくりを加速させる契機にする考えを示した。

太田国交相は、13年を「メンテナンス元年」と位置付け、高度成長期に集中的に整備されたインフラの老朽化対策に特に力を注いできた。こうした取り組みについて、「2年目が大事。さらに徹底して踏み込む」と明言。今年は施策を一段と充実させる意欲を見せた。「防災、減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化がこれからの公共事業のメーンストリームだ」とも述べ、将来を見据えて計画的に公共事業予算を確保していく必要性を訴えた。

東日本大震災の被災地復興については、昨年3月に策定した工程表に沿って事業を進展させ、「今年は復興の実感が得られる年にしていきたい」と強調。課題として「街づくりと住宅の高台移転などでの土地取得を含めた合意形成」を挙げた。

建設業界では今、担い手の確保・育成が最大の課題になっている。太田国交相は、そのための環境整備として、「事業の特性に応じた多様な入札契約制度を導入・活用することが重要だ」と指摘。1月に始まる通常国会で必要な法改正を行うことに意欲を示した。国交省は昨年4月、公共工事設計労務単価を最大の上げ幅で引き上げた。太田国交相は、技能労働者の就労環境改善に向け、今後も労務単価を機動的に見直していく考えを表明した。特に若い担い手を確保・育成するために、社会保険加入の徹底や、昨年、現職国交相として初めて訪れた富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)の機能拡充などを通じ、将来の活躍が期待される人材を「裾野から育てることに力を入れたい」とも語った。

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