2014/1/28 国交省、総務省/「歩切り」根絶を自治体に要請/個別指導や団体名公表も

【建設工業新聞 1月 28日 1面記事掲載】

国土交通、総務両省は、公共工事の入札時に予定価格を根拠なく引き下げるいわゆる「歩切り」を根絶するよう地方自治体に要請した。両省はこれまでも、入札契約の適正化や迅速で円滑な施工の確保といった観点から他の措置とパッケージにした対策の一つとして歩切り防止を求めてきたが、歩切りだけを取り上げて根絶を要請したのは初めて。要請後もなお不適切な行為が見られる場合、個別指導や自治体名の公表にも踏み切る考えだ。

「予定価格の適正な設定について」と題した要請文書を24日付で都道府県知事と政令市の市長、それぞれの議会議長に出した。文書では、予定価格は財務規則などに従って取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短などを考慮して適正に定めるよう要請した。公共工事入札契約適正化法(入契法)に基づく適正化指針にも、資材などの最新の実勢価格を適正に反映させながら適正な積算の徹底に努めるとの文言が明記されていることを指摘。歩切り行為は、工事の品質と安全の確保に支障を来し、建設業の健全な発展を阻害する恐れがあるとして、根絶に努めるよう求めている。

両省は従来も歩切り防止を自治体に繰り返し求めてきたが、予定価格の端数を切り捨てたり、根拠のない一定率を乗じて減じたりする行為が依然として後を絶たないという。全国中小建設業協会(全中建)が会員企業を対象に実施した調査では、6割強が「(歩切りを)されていると思う」と回答している。

今回の要請では、入札の不調・不落対策を含め公共工事の円滑な施工を確保するためには、直近の資材価格や人件費の上昇などを踏まえ、実勢価格を反映した適正な予定価格を設定することや、技能労働者の賃金を適正水準にすることが重要だと強調している。都道府県に対しては、自ら歩切りを慎むだけでなく、管内市町村にも要請内容を周知徹底するよう求めた。

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