2014/3/12 国交省/新規参入促す総合評価方式試行/受注企業偏り懸念に対応、実績加点せず

【建設工業新聞 3月 12日 1面記事掲載】

国土交通省は、直轄工事の入札で、企業の新規参入を促す総合評価方式を試行する。施工能力を評価する方式で企業の実績などを評価対象とせず、技術提案だけを加点評価する仕組み。同種工事の実績や工事成績の評価を重視するあまり、特定の企業に受注が偏っているとの指摘に応えるのが狙いだ。11日に開いた「総合評価方式の活用・改善等による品質確保に関する懇談会」(座長・小澤一雅東大大学院教授)で報告した。

総合評価方式について同省は、施工能力重視と技術提案重視へと方式を二極化する方向を13年度から本格的に打ち出した。施工能力重視の方式では手続きを大幅に簡素化。技術提案重視の方式では品質を一段と向上させるのが狙いだ。ただ、こうした二極化をめぐっては、施工実績などが評価対象になる施工能力評価型の案件で「受注できる企業が固定化してしまう」と懸念する声も出ていた。このため同省は、技術を持った企業の新規参入が期待できる工事を対象に、同種工事の実績、工事成績、表彰など過去の実績に関する項目を加点評価せず、技術提案だけを加点する方式を試行することを懇談会に提案した。

関東地方整備局では、新規参入を促すために、13年度に数件の工事で「技術提案チャレンジ型総合評価方式」と呼ぶ方式を試行。過去の実績が少ない企業でも、技術力があれば受注機会を確保できる環境づくりに取り組んでいる。こうした事例を参考に新規参入を促す方式を試行する。

新規参入企業を含めた技術的能力の審査を公正・効率的に行う観点から、地方自治体の工事成績などを評価できる仕組みづくりも提案した。工事成績評定を国と自治体で標準化し、統一データベースを共有する仕組みを想定。都県や政令市での工事成績や表彰を評価対象に関東整備局が試行している「自治体実績評価型総合評価方式」を参考に取り組む考えだ。

このほか、施工能力評価型で、参加者が提案する施工計画に基づき評価を行う「I型」と、実績を評価する「II型」の採用に整備局ごとのばらつきがあることも報告。今後、施工計画を求めて企業の能力を評価する工事や、競争参加者に求める施工計画のテーマ設定や審査基準を整理する方針も示した。

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