2014/4/14 社会保険未加入-入札段階で排除・指導/5府県、国交省に先駆け実施/本社調査

【建設工業新聞 4月 14日 1面記事掲載】

国土交通省が、直轄工事の入札で8月1日から社会保険に未加入の建設業者を排除する。同じ公共発注機関の地方自治体はどう対応するのか-。日刊建設工業新聞社は都道府県を対象に緊急調査を実施した。その結果、5府県が国交省に先駆けて、業者の社会保険加入状況を確認して未加入業者を入札から排除したり加入を指導したりする措置を実施済みまたは予定していることが分かった。

国交省が8月1日から実施する措置では、元請となる業者の社会保険加入状況を確認した上で、未加入の場合は応札を認めないようにする。さらに、1次下請業者については施工体制台帳で社会保険への加入状況を確認。未加入の場合は、元請に対し、請負代金の減額や指名停止、工事成績評定の減点といったペナルティーを科す。

都道府県の対応に関する調査は3月末に実施。すべての都道府県から回答が寄せられた。国交省に先立って社会保険未加入業者を個別入札の段階で排除したり、加入指導を行ったりする措置を導入済みまたは導入予定だったのは、秋田、神奈川、福井、京都、大阪の5府県。このうち秋田県は、08年度から健康保険と雇用保険の加入を入札参加要件に設定していた。神奈川県はこの4月から1億5000万円以上の一般競争入札とすべての指名競争入札で、社会保険加入を参加要件とし、1次下請は加入業者と契約するよう促すことにした。福井県は6月から、施工体制台帳で下請の未加入実態が判明すれば、下請から外れるか、社会保険に加入してもらうことを要請するという。同県は既に、12年6月から入札参加条件に社会保険加入を加えており、今回、下請業者も含めることで加入を徹底する。

京都府は、未加入業者を排除するところまでは行っていないが、台帳で下請の加入状況を確認し、未加入の場合は加入するよう指導している。大阪府は、13年11月から取り入れている未加入業者の落札を禁じる措置に加え、この4月から全発注案件を対象に次数を問わず下請の加入状況を確認する取り組みを始めた。元請には未加入業者を下請に使わないことをうたった誓約書を提出させ、未加入が発覚した場合には日本年金機構と厚生労働省大阪労働局に通報する。

国交省は、2年ごとに定期で行う直轄工事の競争参加資格審査で、15~16年度分の資格審査から社会保険未加入業者の審査申請を認めない排除措置を導入する。調査では都道府県が定期の資格審査でどう対応するかも聞いた。その結果、岩手、秋田、福島、石川、滋賀、京都、和歌山、長崎、沖縄の各府県は既に同様の排除措置や格付けランクの引き下げなどの何らかの措置を実施済みだった。さらに14年度の資格審査から熊本、宮崎の両県も申請を加入業者に限ることにしていた。新潟、富山、静岡、大阪、兵庫の5府県も15年度以降、排除措置を実施すると回答した。実施済み6府県のうち、滋賀県は社会保険に入っていない技術者がいた場合は「技術者数」にカウントしない措置を導入。和歌山県は排除措置は導入していないものの、未加入業者は格付けランクを引き下げているという。

国交省は、3月に自治体の担当者を対象に開いた説明会で、同省直轄工事で実施する未加入業者の排除措置を伝えた。5月早々にも、8月1日から取り入れる排除措置の具体的内容を各地方整備局に通知する予定だ。通知を自治体にも参考送付して取り組みを要請する方針で、国交省と同様の排除措置の導入が自治体でも一段と加速する可能性がある。

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