2014/9/11 国交省/中建審に入契法適正化指針改正案提示/「歩切り」は違法、根絶へ

【建設工業新聞 9月 11日 1面記事掲載】

国土交通省は10日、中央建設業審議会(中建審、国交相の諮問機関、会長・石原邦夫東京海上日動火災保険相談役)の総会を省内で開き、先の国会で成立した改正公共工事入札契約適正化法(入契法)に基づき閣議決定する「入札契約適正化指針」の改正案を示した。ダンピング受注排除策の強化を明記。予定価格を根拠なく引き下げる「歩切り」は、入契法とともに改正された公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)が規定する「発注者責務」に違反する行為だとして根絶を図るとした。適正化指針は、公共工事品確法に基づく基本方針と併せ、9月下旬から10月上旬にかけて政府が閣議決定する。

改正案のうち、ダンピング対策の強化では、ダンピングは工事の手抜き、下請業者へのしわ寄せ、労働条件の悪化、安全対策の不徹底につながるとして、低入札価格調査制度や最低制限価格制度の活用徹底を明記。適正金額での契約を徹底する一環として、歩切りを根絶する方針も示した。

国交省は、適正化指針の改正後、自治体への指導・要請を強化。低入札価格調査制度や最低制限価格制度を未導入の自治体に導入を要請するとともに、歩切りの実態を調べ、疑わしい行為が見られる場合は説明を求め、必要に応じて個別発注者名を公表するなどして改善を促す。談合防止策の強化では、予定価格作成前に入札書と技術提案書を同時に提出させることで不正を発生しにくくする方式を追記。直轄工事の一部で本格実施を始めた同方式の導入を促す。

国交省は同日の中建審に、公共工事品確法基本方針の改正案も報告。この中にも、担い手育成・確保のために受注者の適正利潤を確保することをうたった改正法の趣旨を踏まえて「歩切り禁止」を盛り込み、見積もり活用などと併せた適正な予定価格設定を求めた。同法に基づく国の施策として、中長期的な担い手確保・育成や市場の実態を適切に反映して予定価格を定められるよう、積算基準の見直しを行うことも明記。年内に策定する発注者の共通ルールとなる運用指針が適切に実施されているかを定期的に調査するとした。

総会で石原会長は「都道府県や市町村の工事でダンピング受注を排除し、社会資本の維持管理が適切に行われるようにしないと地域の保全は成り立たない。健全な元下請関係が地域の経済循環に寄与することを期待したい」と述べた。

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