2014/9/12 中建審で業界反応/適正化指針、「歩切り=違法」に期待/若手雇用加点は配慮を

【建設工業新聞 9月 12日 1面記事掲載】

「インセンティブのあり方を見直してほしい」「信頼を損ねる一部の発注者の行為が根絶されることを期待している」-。10日に開かれた中央建設業審議会(中建審、国土交通相の諮問機関)に国交省が提示した改正公共工事入札契約適正化法(入契法)に基づく入札契約適正化指針の改正案、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の基本方針改正案、経営事項審査(経審)改正案について、建設関係団体からさまざまな意見が出ている。それぞれ閣議決定または来年度からの適用が予定されており、最終案をめぐる今後の関係機関の対応が注目される。

「自分が行った行為が法令違反であるという認識も持っていただけることを期待する」。ある業界団体の幹部は、適正化指針の改正案に、予定価格を根拠なく引き下げるいわゆる「歩切り」が違法であると明記されたことに謝意を示した上で、そう指摘する。歩切りが横行する背景に厳しい財政事情があることを理解した上で、この団体は従来から「発注者の信頼を損ねる行為」として歩切りの根絶を訴え続けていた。

国交省が実施する歩切りの実態調査に期待する声も出ている。「数量のごまかしも問題だ。見積合わせの過程で、歩切りと分かっても言い出せない」。ある団体の幹部は、予定価格決定までのフローをはじめ、同省がどこまで踏み込んだ調査を行うかに注目する。

経審改正案をめぐってある団体の幹部は、35歳未満の新規に名簿登録された技術職員が全体の1%以上の場合に加点評価する措置に関し、「ほかの加点を減らしてでも、加点を増やしてほしい」と強調する。改正案にある継続雇用した技術職員が全体の15%以上である場合の加点措置は、対象になる会員が少ないのに加えて、1%以上の加点評価は「若手採用のインセンティブとして即効性がある」からだ。15%以上の加点措置は「大手ゼネコン向き」という見方が準大手以下のゼネコンにもあり、裾野の広い産業特有の課題を踏まえ、国交省がどういった案を提示するのか注目される。

10日の中建審総会でもは、全国建設業協会(全建)の近藤晴貞会長が「評価点を段階的に引き上げるなどの工夫が必要だ」、全国中小建設業協会(全中建)の小野徹副会長が「中小業者は工事量が激減する中で、企業防衛のために若手の採用を控えてきた。(経審改正の)実現には年数が必要」と述べ、地域の建設業者の実用に配慮するよう求めた。国交省の吉田光市建設流通政策審議官は、日刊建設工業新聞の取材に「全建、全中建が中建審で出した意見の趣旨を踏まえてきっちりと対応できるようにしたい」と話した。

総会では、日本建設業連合会(日建連)の山内隆司副会長が、改正公共工事品確法の理念を「民間工事にも相通じる」と指摘。技能労働者の賃金をはじめとする労働条件や安全衛生について公共工事の施工で求められる各種事項に民間工事でも取り組む決意を表明した。

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