2014/11/13 社会保険未加入業者の排除策-国の機関に拡大/農水省や水機構、高速道路会社も

【建設工業新聞 11月 13日 1面記事掲載】

国土交通省が直轄工事で8月に始めた社会保険未加入業者の排除対策が、国関係の発注機関に広がっている。国交省に次いで多くの事業を抱える農林水産省が同時期に開始。他府省庁も追随して検討を進めている。水資源機構や高速道路会社など国交省所管の独立行政法人や関係機関も同様の措置を導入している。改正公共工事入札契約適正化法(入契法)に基づき9月末に閣議決定した改正適正化指針にも未加入業者排除が盛り込まれており、取り組みは一段と広がりそうだ。

国交省直轄工事では、元請業者の加入状況を確認し、未加入業者を入札から排除。加えて、施工体制台帳の提出義務がある下請代金総額が3000万円(建築は4500万円)以上の工事では、未加入の1次下請との契約を原則禁止。未加入が発覚すれば、元請業者に制裁金や指名停止、工事成績評定の減点といったペナルティーを科す。2次下請が未加入の場合も発注部局から建設業担当部局に通報し、加入指導を行う。国交省を中心にした15・16年度競争参加資格審査のインターネット一元受け付けでは、社会保険加入を申請条件にしたため15年度以降、参加各機関の工事で未加入業者は応札できなくなる。

農水省は国交省と歩調を合わせ、地方農政局などが8月1日公告分から同様の排除措置を導入。林野庁も9~10月に各地方森林管理局などで順次対策を始めた。8月1日公告の工事までさかのぼって加入状況を調べたが、「ペナルティーの対象になる事案はなかった」(林政課)という。防衛、法務、財務などの各省は日刊建設工業新聞の取材に「検討中」と回答。適正化指針の趣旨を踏まえ、いずれも前向きに検討を進めているとみられる。

国交省関連の発注機関では、水資源機構、鉄道建設・運輸施設整備支援機構、中日本高速道路会社、西日本高速道路会社などが8月1日以降、首都高速道路会社と阪神高速道路会社も10月1日以降、本州四国連絡高速道路会社は同22日以降の公告案件から同様の措置を導入。東日本高速道路会社はもともと土木工事共通仕様書に受注者の責務として「社会保険等への加入」を記載していたが、8月1日以降公告分から1次下請が未加入だった場合に指名停止などのペナルティーを科す取り組みも始めた。ペナルティーは機関によってまちまちで、指名停止と減点のみで制裁金を科さなかったり、2次下請以下が未加入の場合でも通報しなかったりするケースもある。

都市再生機構は本年度内に導入する方向で検討中。日本下水道事業団は、自治体から事業を受託していることを踏まえ、自治体の動向も見て検討する方針。成田国際空港会社は、現在受付中の15・16・17年度入札参加資格申請で加入を資格条件にした。

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