2014/12/26 国交省/下請取引実態調査結果/技能労働者賃金、改善傾向も3次以下に行き渡らず

【建設工業新聞 12月 26日 2面記事掲載】

国土交通省は25日、14年度下請取引等実態調査の結果を発表した。全国の約1万4000業者を対象に調査を実施。技能労働者に支払う賃金の水準について、予定を含めて「引き上げた」との回答が前年度調査に比べて11ポイント高い61・2%となり、実勢価格の上昇を反映した。全体的に賃金水準は改善傾向にある中、3次以下の下請では逆に「引き上げた」との回答割合が低下。上昇した賃金が末端の下請労働者まで十分に行き渡っていない可能性もある。

賃金水準を引き上げなかったとの回答では、その理由として、前年度調査と同様に「請け負った価格が低く、賃金引き上げの費用が捻出できない」「経営の先行きが不透明で引き上げに踏み切れない」が順に多かった。

社会保険加入に向けて法定福利費が内訳明示された見積書の活用状況も聞いた。13年9月から標準見積書の一斉活用が始まったことを踏まえたもので、元請から下請に対して標準見積書の提示を働き掛けている割合は28・7%、下請から元請に提出している割合は31・6%と低調だった。ただ、今後締結する下請契約では働き掛けていくことを検討しているとの回答が4割超に上った。

国交省によると、調査結果から建設業法に基づく指導が必要だったのは約1万社。これらの業者には、是正が必要な項目を示して自主的改善を求める指導票を送付した。指導の必要がない「適正回答業者」は303社で全体の3・0%(前年度は3・4%)だった。調査は11年7月から14年6月まで3年間の取引を対象に回答してもらった。回収率は82・9%。

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