2015/02/23 全建/担い手確保へ行動指針決定/社保加入徹底、民間工事にも踏み込む

【建設工業新聞 2月 23日 1面記事掲載】

全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)は20日、担い手の確保・育成に向けた行動指針を決めた。処遇改善、将来の担い手づくり、多様な人材の活躍、戦略的広報の4点が柱。下請の社会保険加入の確認・指導を徹底したり、就業環境の整備として週休2日の実現を目指したりすることなどを規定。公共工事だけでなく民間建築工事でも法定福利費が確実に確保されるよう努めることも盛り込んだ。全建が民間工事にまで踏み込んだ指針を策定したのは初めて。20日に東京都内で開いた理事会で、「将来の地域建設産業の担い手確保・育成のための行動指針」として決定した。

担い手の確保・育成が重要課題となる中、14年に改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)などの「担い手3法」が成立。加えて、官民が参加する国土交通省の建設産業活性化会議で総合的な人材確保・育成対策の推進を申し合わせたことを受け、全建としての取り組みを行動指針という形でまとめた。

指針は、「技能労働者が増加傾向にある流れを確実なものにする」(全建幹部)ために、会員各社が元請として取り組むべき複数の事項を列記した。傘下の各都道府県建設業協会に周知し、担い手の確保・育成に向けた活動の強化を促す。具体的には、技能労働者の処遇改善のために、下請企業に適切な賃金を支払うよう要請・指導し、法定福利費が明示された標準見積書を活用することで法定福利費を技能労働者に確実に行き渡らせるとした。

民間建築工事でも法定福利費の確保、再下請企業の社会保険加入状況の確認に努める。標準見積書は、国土交通省の「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」に沿って対応する。週休2日については、適正な労務単価の確保、適正工期の設定、工程管理の徹底によって「実現を目指す」と明記した。処遇改善は適正な利潤が前提となることから、下請の行き過ぎた重層化とダンピング受注を行わず、適正な賃金水準を確保できる請負契約の締結に努めるとした。

教育関係者との意見交換や、入職前後の若者の資格取得支援も展開。人材育成では、業界の共同施設である富士教育訓練センターや三田建設技能研修センター、広島建設アカデミーなどの活用を推進。廃校の活用も積極的に進めるとした。女性、高齢者、外国人など多様な人材の活躍を促す方針も表明。育児・介護との両立支援、設備の整備、労働時間の短縮を図るのに加え、継続雇用や作業環境の改善による高齢者の活躍にも配慮するとした。広報活動では、マスコミやインターネットの動画投稿サイトの活用、小中学生や保護者向けの活動を拡大する方針を掲げている。

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