2015/04/01 担い手3法、全面施行/内訳書・施工台帳の提出義務化/重み増す発注者の責務

【建設工業新聞 4月 1日 1面記事掲載】

昨年5月に成立した「担い手3法」が1日、全面施行される。ダンピング対策を強化した改正公共工事入札契約適正化法(入契法)で、すべての公共工事入札で内訳書の提出が義務付けられる。同法に基づき、公共工事では施工体制台帳の提出義務も全工事に拡大される。改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の運用指針に基づく発注事務もスタート。受注者の「適正利潤」確保が発注者の責務となる。

入札金額の内訳書提出は初めて実施する自治体も少なくない。仮に発注者の提出要請に建設業者が応じなければ、「書類不備」として入札が無効になる可能性もある。内訳書の提出は、見積もり能力のない不良・不適格業者や見積もりもせずに安値で受注しようとする業者を排除する効果が期待されている。13年9月時点で国土交通省などが行った「入札契約適正化法等に基づく実施状況調査」によると、国・地方の全公共発注機関(1934団体)のうち4分の3に当たる1442団体が何らかの内訳の提出を求めており、内訳書提出の全面義務化も可能と判断した。

法改正を受けて今回初めて内訳書提出を求める長崎県壱岐市は、3月12日に「工事費内訳書事務取扱」をホームページで公開し、▽直接工事費▽共通仮設費▽現場管理費▽一般管理費-に分けて内訳を記載する所定のフォーマットも作成した。提出要請に応じない建設業者がいれば「書類不備として入札が無効になる」(総務部財政課)としている。東京都内では、既に多くの自治体が内訳書の提出を求めており、これまで実施してこなかった江東区なども法律に基づき提出要請を始める。JV工事だけ提出を求めていた大田区は、全面移行をホームページを通じて周知している。

担い手3法のうち、1日に全面施行となるのは、改正入契法と改正建設業法の一部を除く規定。公共工事では入札内訳書とともに、従来は下請金額3000万円(建築一式は4500万円)以上の工事で義務付けられていた施工体制台帳の提出もすべての工事で義務化される。これによって発注者は、比較的規模の小さい維持修繕工事の施工体制が把握できるようになり、下請企業の社会保険加入状況なども確認しやすくなる。昨年6月に施行された改正公共工事品確法に規定された「発注者の責務」を果たすための共通ルールとなる運用指針(1月30日決定)に基づく発注関係事務も本格スタート。適正な予定価格設定や歩切りの根絶、低入札価格調査や最低制限価格制度の活用、適切な設計変更などが、発注者が負う責務として求められるようになる。

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