2015/04/20 国交省/工期平準化へ2カ年債務負担2百億円設定/繰り越し活用、整備局に要請

【建設工業新聞 4月 20日 1面記事掲載】

国土交通省は、年度末の3月に工期が集中するのを回避するため、15年度に各地方整備局の事務所から発注する工事(分任官工事)を中心に200億円に上る2カ年国債(国庫債務負担行為)を設定した。債務負担行為の積極活用によって、通常だと工事量が一気に減る4~6月に工期を移すなど、施工時期を平準化して建設生産システムの改善につなげるのが狙いだ。

17日に各地方整備局などに「適切な工期の設定及び施工時期等の平準化について」とする文書を出し、各機関の対応を求めた。発注や施工時期の平準化は、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)に基づき発注者共通ルールとして定めた運用指針に盛り込まれた措置。15年度予算成立を受けて事務次官名で10日に出した所管事業の執行通達にも、「翌債等の繰越制度の適切な活用、円滑な施工体制確保のための余裕期間の設定等による適切な工期の設定および施工時期等の平準化に努めること」を盛り込んでいた。

17日付で各整備局に出した依頼文書では、工事を発注する際、休日や雨天など作業不能日数を加味した適正な工期設定に努めるよう要請。さらに、資機材や労務を手当てしやすくするため、契約から3カ月以内で着工時期を受注者の裁量によって決められるようにする「余裕期間」設定など、受発注者双方で施工時期を平準化できる体制を整えるよう求めた。これらに加えて要請したのが、施工時期などの平準化も目的にした国庫債務負担行為の適切な運用だ。15年度の同省直轄工事では、舗装や築堤・護岸、建築の小規模改修など、比較的工期の短い工事で施工時期を平準化できるよう、2カ年国債を設定する取り組みを開始。予算の実施計画ベースで15年度支出分に100億円、翌年度支出分に100億円の合計200億円の限度額を設定した。

年度内の完了が見込まれない工事については、繰り越し明許による翌年度にわたる債務負担(翌債)など、必要に応じて繰り越し制度を適切に活用するとしている。依頼文書では、余裕期間の設定、債務負担や繰り越しの活用といった取り組みとともに、工事実施に当たっての関係者調整、用地確保、事業全体の工程計画の検討や事業の進ちょく管理も要請。16年度に向けて適切な工期の設定や施工時期を平準化するための課題把握や対策の検討に努めることも求めた。併せて、各地方整備局の取り組みについて、地域発注者協議会を通じて、地方自治体などの発注機関にも情報提供することも要請した。

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