2015/05/29 国交省/社保未加入の1次下請全面排除へ/直轄工事で8月から適用開始

【建設工業新聞 5月 29日 1面記事掲載】

国土交通省は28日、社会保険に未加入の1次下請業者をすべての直轄工事から排除する措置を8月から実施するため、各地方整備局や地方航空局などに通達を出した。現在は下請金額が3000万円(建築一式は4500万円)以上の工事を対象にしているが、この金額要件を撤廃する。8月1日以降に入札契約手続きを開始する工事に適用する。一般競争入札なら同日以降の公告案件から、未加入の1次下請業者は直轄工事に参入できなくなる。

未加入業者と契約したことが判明した場合は、元請業者に対し、元・下請間の最終契約額の10%を制裁金として請求。さらに指名停止措置や工事成績評定の減点も行う。今回の排除措置の拡大は、元請が提出を義務付けられる施工体制台帳の対象が、今年4月から従来の下請契約額3000万円以上の工事からすべての工事に広がったため実施できるようになった。影響を確かめるため「試行」として始めるが、対象工事は限定しない。

8月の開始に向けて国交省は「発注者と建設業所管部局が連携した建設業者の社会保険等未加入対策について」と題した通達を改正し、地方整備局などに対応を指示した。地方自治体や建設業者には、全国8カ所で開く社会保険未加入対策の地方説明会(全国キャラバン)や都道府県や政令市が入る地方公共工事契約制度運用連絡協議会(地方公契連)の総会などを通じて周知していく。元請については、社会保険未加入の場合は入札参加資格審査を受けられず、既に排除されている。国交省によると、今回の排除措置で直接的な影響を受ける業者は、過去の実績から判断するとごく少数とみられるが、1次下請まで排除を徹底することで、17年度に建設業許可業者の加入率100%(企業単位)という目標の達成を確実なものにする方針だ。

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