2015/05/29 中間前金払い制度、市町村で導入大幅拡大/品確法運用指針決定が効果/国交省

【建設工業新聞 5月 29日 1面記事掲載】

公共工事の中間前金払い制度を導入する市区町村が急ピッチで増えている。発注者に同制度の導入を求めた改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の運用指針が1月末に決定後、今年2月以降に72の市区町村が新たに導入。これで導入済み自治体は1005団体と、1000団体を突破した。中間前払金に加え、着工前の前払金についても、上限額を引き上げたり、適用工事を拡大したりする動きも目立つ。調査は4月1日時点で実施。公共工事前払金保証事業会社の調査結果を国土交通省がまとめた。

国交省によると、中間前金払い制度はこれまでも増加傾向にあったが、1月末時点の導入団体数と4月1日時点の導入団体数を比べると7・7%増と大きな伸びになる。2月以降、中間前金払い制度を新たに導入したのは42市区と26町、4村。導入率が低かった近畿地方をはじめ全国的に導入する自治体が増えているという。既に都道府県はすべて導入済み。自治体全体の導入割合はこれで56%となった。このほか、適用対象工事の金額(国は1000万円以上)を引き下げたり、業務委託を対象に加えたりした市区町村が9団体、前払いする金額の上限額(国はなし)を撤廃したり、引き上げたりした団体も21団体あった。中間前金払い制度は工期の半分が経過し、出来高が請負金額の半分以上に達していれば、受注者は工事代金の最大20%を受け取ることができる。

発注者共通のルールとして定められた改正公共工事品確法の運用指針では、元請業者の資金調達を円滑化するため、中間前金払い制度の導入や利用促進を求めている。加えて国交、総務両省は2月、自治体に対し早急な導入を要請する文書を出していた。中間前金払いに加え、着工前の通常の前金払い制度でも拡充の動きが加速している。前金の上限を請負金額の30%から、国などと同じ40%に改めるなど率を引き上げた自治体が都道府県1団体を含め31団体あった。45団体は適用金額を引き下げたり業務委託も対象に加えたりした。上限額の撤廃・引き上げに踏み切った団体はさらに多く、64団体に上った。内訳は都道府県が1団体、市区が40団体、町が21団体、村が2団体だった。

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