2015/07/08 国交省/歩切り根絶で47都道府県と合意/全市町村に働き掛け強化

【建設工業新聞 7月 8日 1面記事掲載】

国土交通省は、公共発注機関が入札時の予定価格を積算金額より切り下げる「歩切り」の早期根絶をはじめ「担い手3法」を着実に運用していくことについて、7日までに全都道府県と合意した。合意に基づき、各都道府県は今後、すべての市町村に対して、助言や支援の形で歩切りの廃止を働き掛ける。「脱歩切り」に向けた枠組みがこれで整った。都道府県の建設業政策担当者や契約・積算担当者が出席し、7日までに全国8カ所で開かれた15年度上期の「ブロック監理課長等会議」で申し合わせた。申し合わせでは、「地域の守り手」である建設産業の担い手確保・育成に向け、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)など担い手3法の運用を着実に進めるとし、その第一歩として、市町村が歩切りを見直すよう都道府県が助言などの支援を早期に行うとした。7日に開かれた関東甲信ブロックの監理課長等会議で合意された結果、全ブロックでの合意が完了した。  

  各地の会議では、歩切りを廃止していない具体的な市町村名を挙げるなど踏み込んだ議論が行われ、国交省と都道府県で意識の共有を図った。市町村に近い都道府県が歩切り根絶の旗振り役になることで、対策の実効性を高められると国交省はみている。国交省は、歩切りの違法性を明確に説明したリーフレットを作成するとともに、全自治体を対象に総務省と共同で行った実態調査の結果を公表し、6月からは再調査に乗り出すなど機運の醸成を図ってきた。こうした取り組みによって、都道府県からは「市町村への助言や支援に乗りだしやすくなった」との声が上がっている。実際に都道府県の担当者が歩切りを行っている市町村に繰り返し電話を掛けたり、副市長クラスなどに面会して呼び掛けたりするなど、既に対応を始めている都道府県もある。「歩切りを実施する市町村が減ったとの手応えがある」と話す県の担当者もいる。国交省などは、今夏にまとめる再調査の結果を踏まえ、早ければ年内にも歩切りを廃止しない自治体名を公表する方針。期限を区切ることで市町村に見直しを促す。

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