2015/09/28 全建/改正品確法・運用指針めぐり意向調査結果/予定価格見直し不十分

【建設工業新聞 9月 28日 1面記事掲載】

◇地域懇で発注者に対応要望
全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)は、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)と同法運用指針の効果について、傘下の都道府県建設業協会と会員企業に行ったアンケートの結果を明らかにした。市区町村発注工事の予定価格について「実勢価格が反映されていない」とする協会が多いことが判明。会員企業の多くが、「工期に地域の実情や週休2日の実行が考慮されていない」と答えた。10月から国土交通省の地方整備局などと行う地域懇談会で対応を求める。

アンケートは、同法と指針の効果を把握し、提言活動などに生かす目的で実施。4月の指針運用開始を踏まえ、協会、会員企業に14年12月と15年7月時点を比較する形式で回答を求めた。47都道府県協会のうち40協会、会員企業1162社が回答した。

労務や資材の実勢価格が予定価格に反映されているか協会に聞いたところ、都道府県については90%が「反映・改善予定」と回答した一方、市区町村については「反映・改善予定」が40%に届かず、多くの協会が予定価格の見直しは不十分と受け止めていた。市区町村では「国の積算基準に基づく単価の見直しが進んでいない」との回答が60%以上に達した。

予定価格を切り下げる「歩切り」は、協会の80%以上が「都道府県は以前からない・改善予定」と答えたが、市区町村については半数を下回り、「いまだに行われている」との回答もあった。

工期設定のうち、国交省発注工事では「地域の実情や週休2日が考慮されている・考慮されるようになった」との回答が協会で60%あったが、都道府県発注工事は40%、市区町村発注工事は20%以下にとどまった。会員企業は、国交省・都道府県・市区町村の工事とも「考慮されていない・不明」との回答が60%と、対応が進んでいないと認識する企業が多い。契約変更については、会員企業の30%が市区町村で必要な変更が「行われていない」と答えた。

会員企業の経営状況は、「悪い・悪くなってきた」が6割を超え、その要因に「発注の減少」(回答622件)、「競争の激化」(299件)が挙がった。「ほぼ全部の入札が抽選」「不採算工事がいまだ多い」との意見も寄せられ、「人件費、下請代金、資材価格が利益を圧迫している」との回答が300件以上あった。

地域懇談会は10月7日の関東甲信越ブロックを皮切りに全国9地域で行う。全建は、アンケート結果を踏まえ、適正利潤の確保をうたった指針の徹底や適切な設計変更と工期設定などを強く求める考えだ。

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