2015/10/05 国交省、総務省/歩切り団体に聴取開始/50団体対象、早期根絶へ回答求める

【建設工業新聞 10月 5日 1面記事掲載】

国土交通、総務両省は、公共工事の入札で予定価格を減額する「歩切り」の廃止時期を明示していない50の地方自治体を対象に、都道府県を通じた聴取を開始する。歩切りを続ける理由や廃止に向けた検討のスケジュール、検討体制などを聞くほか、「見直しを行う予定はない」と答えた自治体には違法行為にもかかわらず歩切りを続ける理由を尋ね、早期の根絶を促す。

歩切りをめぐって両省は2回の実態調査を実施。7月1日時点で全自治体のうち、歩切りを実施していた自治体は端数処理を除くと100団体だった。このうち50団体は時期を明示して「見直しを行う予定」と回答していた。

聴取の対象は残る50団体。福島県内の自治体が最も多く10団体に上る。他には埼玉、長野、三重、沖縄などの自治体で、調査対象の自治体がある都道府県は19県。

聴取は各県が実施するが、統一的な内容とするため、聴取する事項については国交省が作成した。回答期限は10月30日に設定した。

聴取内容は、▽「見直しに向けて対応を検討する」と回答したが検討開始時期を明言しなかった自治体▽「見直しに向けて対応を検討する」と回答し、検討開始時期も示した自治体▽「見直しを行う予定はない」「現在の取り扱いを継続する」と答えた自治体▽端数処理に該当する可能性がある自治体-の4パターンで作成した。

見直しに否定的な姿勢を示した自治体には「違法であるにもかかわらず、見直しを行わない具体的な理由」を聞いてもらう。国交省は歩切りを廃止しない場合、本年度内に自治体名を公表する構え。聴取でも公表への懸念を聞く。

聴取結果は、都道府県の建設業政策担当者や契約・積算担当者が出席して11月から開く15年度下期の「ブロック監理課長等会議」で各県から説明してもらう。その上で、今後の対策を検討。必要な場合は、歩切り実施自治体に対し国交省から直接呼び掛けることも視野に入れている。

最初の実態調査(15年1月時点調査)で歩切りを実施していたのは端数処理を除き459団体あったが、半年間で100団体まで減少した。国交省は本年度内の完全廃止を目指している。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る