2015/11/13 中建審総会/関係団体が政策の方向性主張/業界団体首脳、発注量の増加要望

【建設工業新聞 11月 13日 2面記事掲載】

◇山内日建連副会長、杭問題で「不安払しょくに全力」
山内隆司日本建設業連合会(日建連)副会長や近藤晴貞全国建設業協会(全建)会長ら中央建設業審議会(中建審、国土交通相の諮問機関)の委員を務める建設関係団体の首脳が、11日に開かれた中建審総会で、政策に関する意見を述べた。

山内副会長は、技能労働者が130万人減少するとの日建連の推計を紹介した上で、労務賃金の改善、社会保険未加入対策、女性活躍の推進といった「担い手確保に積極的に取り組みたい」と表明。国や団体が検討している「建設技能労働者の経験が蓄積されるシステム」について、「技能の見える化は、建設産業全体の処遇改善につながる。日建連の推進本部で積極的に対応しており、支援をお願いしたい」と関係団体に協力を求めた。

近藤会長は、5日まで国土交通省と各地で行ってきた15年度ブロック会議を踏まえ、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)をはじめとする「担い手3法」の自治体への徹底、発注の平準化、15年度の発注量の増加の3点を求めた。近藤会長は「地域によっては発注量が20~30%減の地域がかなり出てきている」と指摘。その上で、公共工事への依存度が高い建設会社の「明るさと活気を戻すために(工事が)必要だ」と申し入れた。

小野徹全国中小建設業協会(全中建)副会長は、国交省が取り組みを強化している自治体による工事価格の歩切りに関し、同省の対応に謝意を示した上で、「端数処理など、恣意(しい)的な行為は一切認めないよう指導してほしい」と要望。予定価格の事前公表廃止など公共工事品確法に基づいた発注関係事務の徹底も求めた。

青木繁夫日本建設躯体工事業団体連合会副会長は、「正しい業者が用いられる方向に持っていってほしい。担い手の対応に一生懸命な会社は(費用が生じて)つぶれ、何もしない会社はお金がかからない。新しい評価を加えてほしい」と、完成工事高に偏りすぎない企業評価手法の必要性を強調した。

日本建設業連合会(日建連)の山内隆司副会長は11日、委員を務める中央建設業審議会(中建審、国土交通相の諮問機関)の総会で、基礎杭の施工不良問題に関する対応状況を説明し、「施工管理の責任を負う元請会社の団体である日建連として、大変重く受け止めており、不安の払しょくと安全確保のために万全を期したい」とあらためて表明した。

日建連は、国土交通省の指示を受け、施工不良の懸念がある建物の調査を進めると同時に、対応を検討中。山内副会長は、「国交省の対策委員会での検討にも沿いながら、杭施工の管理体制や管理指針の検討を進める。万全の体制で対応したい」と述べた。

中建審委員で、国交省の「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」の副委員長を務める小澤一雅東大大学院教授は、「信頼される建築物を提供するために施工不良を発生させない観点で答えを返さないといけない。いろいろなことが、いろいろなところに起きた可能性もある。全体をどう変えれば問題を発生させないか、検討したい」と幅広い議論が必要との認識を示した。

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