2015/12/04 札幌建協/土木工事会員アンケート結果/生産性阻害、施工条件とのかい離指摘

【建設工業新聞 12月 04日 1面記事掲載】

◇札幌建管で工事成績評定のばらつき上昇
札幌建設業協会は、北海道開発局札幌開発建設部と北海道札幌建設管理部が発注する土木工事について会員企業を対象に行ったアンケートの結果をまとめた。工事施行成績評定に「ばらつきがある」との回答が、札幌建管の発注工事で前年度より約50ポイント上昇。また、工事における生産性(収益性)の阻害要因のうち発注者側に起因する事項としては、札幌開建の発注工事で「現場施工条件とのかい離」が、札幌建管の発注工事では「埋設物の設置状況の不明確さ」が新たに上位5項目の一つに挙がった。

アンケートは14年度の受注工事を中心に9月に実施し、会員82社のうち、札幌開建は受注があった45社、札幌建管は同じく34社の回答を集計した。

調査結果を見ると、札幌開建発注工事では、生産性阻害要因の発生頻度は「頻繁」と「時々」を合わせて53・8%となり、前年度(59・4%)に比べ5・6ポイント低下。発注者側に起因する阻害要因として最も回答数が多かったのは、前年度と同じ「設計の不備」(7・7%)。

これまでほとんど回答が無かった「現場施工条件とのかい離」「地質(土質)・地下水状況の不明確さ」(いずれも6・8%)が3位に、同様に新たな要因として「発注・施工時期が不適切」(6・7%)が5位に挙がった。

◆現場条件考慮を
生産性の向上に向けて発注者に望む対策では、1位が「現場条件を考慮した単価・歩掛かりの設定」(17・0%)、2位が「諸官庁・関係機関との十分な調整」(11・8%)、3位が「工事内容を考慮した適期の発注」となった。

一方、受注者が取り組むべき対策では、1位が「発注者との的確・迅速な調整」(26・8%)、2位が「的確な工程計画・管理」(15・8%)、3位が「的確な労務・資材・機材の早期調達」(14・1%)となった。

◆設計変更で損失
設計変更は、回答があった117件全ての工事で行われ、このうち4件で設計変更に時間を要し、工事に影響が出ていた。影響の具体的な内容は、「用水路工事を厳寒期に施工したため、凍上による盛り土の品質低下で当初予定よりも3~4倍の施工費が必要となった」などで、4件とも損失が発生したという。

設計変更が認められなかったケースは、有効回答115件中6・1%に当たる7件であり、そのうち半数近くが現場とのやりとりを記録する「協議簿」の記載をしていなかった。

工期の延長は117件中17・9%に当たる21件で行っており、延長日数は「1~30日間」が52・4%で最多。工期を延長した理由では、「埋蔵文化財調査のため」が最も多く、「設計図書と実際の施工条件の相違」が次いで多かった。

開発局が施工効率を向上させる一環で取り組んでいる設計変更確認会議については、会議が開催された回答者のうち、昨年度とほぼ同水準の87・6%が「十分に主張できた」と回答した。

◆埋設物が不明確
札幌建管発注工事に関する調査結果を見ると、生産性の阻害要因が「発生する」との回答は37・8%で、前年度(39・4%)に比べ1・6ポイント低下。発注者に起因する要因では、「関係機関との調整遅延・不備」(8・4%)が最も多かった。「埋設物の設置状況の不明確さ」(6・7%)は4位で、今回初めて上位に入った。

発注者に求める対応の1位と2位は、札幌開建同様に「現場条件を考慮した単価・歩掛かりの設定」(17・2%)、「工事内容を考慮した適期の発注」(14・8%)となった。

また、受注者が取り組むべき対策も札幌開建同様、1位が「発注者との的確・迅速な調整」(24・3%)、2位が「的確な施工計画・管理」(17・5%)となった。

設計変更は、回答があった44件全ての工事で行われ、このうち5件で設計変更に時間を要し、損失が発生するなどの影響が出ていた。影響の内容では、「(資材などの)数量が決まらず、発注ができなかった」「地盤改良工に使用する固化剤の添加量決定に時間がかかり、作業員や機械が待機となった」などが挙げられた。

工期の延長は、44件中36・4%に当たる16件で行われ、延長日数は札幌開建同様に「1~30日間」が56・3%で最多。工期を延長した理由で最も多かったのは「施工図書と実際の施工条件の相違」だった。

◆評定にばらつき
工事施行成績評定については、評価にばらつきがあるとの回答が「非常に多い」と「多少ある」を合わせて83・7%で、前年度の33・0%から大幅に上昇した。

評定の透明化・公正化に向けて望む取り組みでは、「加点・減点の理由を備考欄に記載して欲しい」「個々の現場に適した評価をして欲しい」などの意見が挙げられた。

札幌建協では8日に札幌建管と、14日に札幌開建とそれぞれ開く意見交換会で、アンケート結果に基づく改善要望を行う方針だ。

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