2016/01/20 石井啓一国交相/労務・技術者単価引き上げ表明/2月1日から適用

【建設工業新聞 1月 20日 1面記事掲載】

石井啓一国土交通相は、19日の閣議後の記者会見で、公共事業の積算に使う公共工事設計労務単価と設計業務等委託技術者単価を引き上げ、2月1日から新単価を適用することを明らかにした。20日の参院本会議で予定される15年度補正予算の可決・成立後、速やかに新単価を公表する。労務単価は13年4月以降3度、技術者単価は14年2月以降2度にわたり引き上げている。石井国交相は、単価改定によって「公共事業の執行にさらに万全を期す」と強調した。

国交省はこれまで、公共工事の着実な執行に向けて、人材や資材の状況を注視しながら必要な対策を講じてきた。特に、労務単価については、13年4月に全職種・全国単純平均で過去最大幅となる15・1%(被災3県は21・0%)の引き上げを実施。その後も14年2月、15年2月と3度にわたって引き上げ、現在の平均単価は12年度単価に比べて28・5%(東日本大震災の被災3県は39・4%)上昇している。

設計や測量などの業務委託に適用する技術者単価も、14年2月、15年2月の2回にわたり、20職種平均でそれぞれ4・7%の引き上げを行った。

いずれも、新単価の設定に当たっては、公共事業労務費調査や調査設計業務等技術者給与等実態調査を実施。その結果を踏まえ、今回も過去2回の改定と同様、改定時期を通常の4月から2月に前倒しすることで、最新の労働市場の実勢価格を適切・迅速に反映させる。

設計労務単価をめぐって石井国交相は、昨年12月の衆院国交委員会で、技能労働者の社会保険への加入を徹底させる観点から、13年4月改定で取り入れた法定福利費相当額を加算する措置を継続する方針を表明。併せて、これまで引き上げた単価が技能労働者の賃金に反映される「好循環」につなげたいと強調していた。

改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の運用指針では、積算に用いる価格が実際の取引価格とかい離しないよう、可能な限り最新の労務単価を適切に反映することを発注者に求めている。国交省は、新しい単価が同省直轄事業以外の公共事業にも広く速やかに反映されるよう、地方自治体などに要請する。

19日に東京都内で講演した同省の海堀安喜建設流通政策審議官は、労務費調査の結果、新単価は昨年2月改定時の4・2%の伸び率を上回るとの見方を示した上で、「既に上がっている大都市圏は小さめ、地方部は高めになるだろう」との見通しを明らかにした。

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