2016/02/26 国交省/i-Con推進体制の整備着々/各整備局で連絡会議発足、現場に取り組み浸透

【建設工業新聞 2月 26日 1面記事掲載】

国土交通省の各地方整備局で、建設現場の生産性を向上させる「i-Construction」に取り組む体制づくりが着々と進んでいる。東北で今月1日、東日本大震災の復興事業に情報通信技術(ICT)を先進的に導入するための連絡会議が発足したのを皮切りに、北陸、中部、九州でも推進組織が動き始めた。近畿も関係者が集まる連絡調整会議の設置を決めた。関東、中国、四国でも体制整備の準備が進められており、それぞれ取り組みを現場に浸透させる役割を担う。

i-Constructionは、現場の生産性を高めるため、「ICT技術の全面的な活用」「規格の標準化」「施工時期の平準化」の3本柱で展開する活動。これにより、一人一人の生産性を向上させながら、企業の経営環境の改善を図り、同時に現場の安全性を高める。石井啓一国交相は今年を「生産性革命元年」と位置付け、省を挙げて取り組む方針を示している。

整備局で最初に体制を立ち上げたのが東北の「東北震災復興i-Construction(ICT)連絡会議」。震災被災地の復興で「ICTの活用を先進的に行っていく」(石井国交相)ため、被災自治体や建設関係団体などが一堂に会してICT普及に向けた道筋を探っていく。

15日には「北陸地方整備局i-Construction推進本部」が発足。整備局幹部をメンバーに直轄現場での展開に加え、地方自治体や建設業界への普及活動にも取り組む。23日には九州整備局が局内メンバーによる「i-Construction推進会議」の幹事会を開催。3月11日に整備局長を会長とする推進会議の初会合を開き、行動方針を決める。

中部では、整備局と管内4県3政令市、建設関係団体でつくる「i-Construction中部ブロック推進本部」の初会合を29日に開催する予定だ。

近畿でも、同様の構成で施工やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)を専門とする有識者も交えた「近畿i-Construction推進連絡調整会議」の設置を決めている。

国交省の本省では、有識者による「i-Construction委員会」(委員長・小宮山宏三菱総合研究所理事長)を設け、3月に報告書をまとめる予定。16年度以降に直轄工事の全工程にICTを導入するための監督・検査の基準作りも進行中だ。各地方整備局での体制整備は、「現場レベルで基準を運用させる上で必要」(官房技術調査課)としている。

民間でも、日本建設業連合会(日建連)が生産性向上推進本部で対応に当たっているほか、アジア航測、復建調査設計らが地場ゼネコンと共同で「地域で実践するi-Constructionくまもと」を発足させるなど、官民で動きが加速している。

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