2016/02/29 全中建/人材確保・育成実態調査結果/技術者の「採用なし」367社、歩切りの指摘も

【建設工業新聞 2月 29日 2面記事掲載】

全国中小建設業協会(全中建、松井守夫会長)は、人材確保・育成対策に関する実態調査の結果をまとめた。会員企業650社が回答。公共発注機関の予定価格が「適正」としたのが72社あったが、歩掛かりの見直しを91社、価格の是正(適正価格)を81社がそれぞれ求めた。技術者の採用に意欲的な社は多いが、15年度に採用したのは282社で、「採用なし」が367社。15年4~10月の受注工事で、国を含む59機関で予定価格を切り下げる歩切りが行われたという指摘もあった。

調査は15年10~12月に実施。改正公共工事品質確保促進法の運用指針で発注機関の責務とされた事項をはじめ「担い手3法の浸透」「採用」「歩切り」などの実態を調査した。回収率は28%。調査結果は、26日に国土交通省に説明した。

予定価格に関して、歩掛かりの見直しを求めた社の内訳は、発注機関別に▽国6▽都道府県42▽市38▽町村5。適正価格を求めたのは▽国3▽都道府県37▽市35▽町村6。小規模工事の歩掛かりや、実勢価格の反映を求める意見が目立った。積算基準が「適正」としたのは85社あったが、「実情と合っていない」も80社、「施工パッケージ型積算方式の見直し」を求めたのは42社あった。低入札価格調査基準と最低制限価格の引き上げを求めたのはそれぞれ53社、134社。

工期をめぐっては、週休2日が難しい理由に104社が「工期設定」を挙げた。「自然環境や周辺の事情」との回答は64社。設計変更は、69社が「適切」としたが、「対応してほしい」も50社、「工期延長など柔軟な対応」を求めたのも45社あった。

15年度に技術者を採用した282社は、「1人」が113社で最多、「11人以上」は19社。16年度以降に採用を予定しているのは153社あったが、「採用なし」(305社)が上回った。約6割が採用の見通しがない状況で、全中建は会員企業の経営は依然厳しいと見ている。女性技術者は15年度に27社が採用し、21社が各1人。34社が採用を予定しているが、613社は「なし」と回答した。技能者を15年度に採用したのは162社、今後は151社が採用予定と回答した。

歩切りについては、15年4~10月に受注した工事を対象に聴取。4月以降に歩切りがあったと指摘された発注機関は▽国3(4月以前3)▽都道府県13(6)▽市39(37)▽町4(20)▽村ゼロ(1)。「ほぼなくなった」という回答が多いものの、複数の会員企業が同一の発注機関を挙げた。見積額の割引を指摘する意見もあった。国交省と総務省が行った調査では、歩切りを続けている自治体は3機関となっている。

15年4~10月の受注環境の受け止め方は、「普通」が38%で、「悪くなった」と「非常に悪くなった」の合計が50%を超えていた。

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