2016/03/02 国交省/段階的選抜方式拡大へ/採用伸びず改善策、手続き短縮へさらに絞り込み

【建設工業新聞 3月 2日 1面記事掲載】

国土交通省は直轄工事の入札で、技術提案を求める参加者をあらかじめ絞り込む「段階的選抜方式」の拡大策を検討する。1日に開いた「総合評価方式の活用・改善等による品質確保に関する懇談会」(座長・小澤一雅東大大学院教授)で、同方式が12~14年度の3年間に82件しか実施されていない現状を報告。受発注者双方の業務負担を軽減できる同方式の使い勝手を良くするため、提案者をより絞り込んで少なくし、手続き期間を短縮するなど改善の方向性を示した。

懇談会に同省が報告したデータによると、直轄工事での段階的選抜方式の採用実績は12年度が39件、13年度が25件、14年度が18件。高知県内の入札談合事件を踏まえ、施工能力評価型の総合評価では同方式を当面実施しないとしており、13、14年度は技術提案評価型(S型)でしか採用実績がない。

公共工事では、工種や地域によって参加企業が常態的に多くなる入札があり、受発注者の業務負担が大きくなる問題が指摘されている。

このため改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)は、技術的能力に関する事項の評価などが一定水準に達した参加者を選抜した上で、その中から落札者を決める段階的選抜方式を多様な入札契約方式の一つに挙げている。

ただ同方式の活用には、受発注者からこれまでに▽選定者が固定される▽手続き期間が延びる▽不調・不落リスクが高まる▽1次審査の事務負担が相対的に大きくなる-といった課題も指摘されてきた。

これらの課題について国交省は、実績データなどから選定者に顕著な固定化傾向は見られず、不調・不落リスクも少ないなどとする分析結果を懇談会に報告。WTO政府調達協定の適用対象となる一般土木工事では、競争参加者が平均15者となり、絞り込みによる事務負担の軽減効果は大きいとの見方も示した。手続き期間については、1カ月程度を要するケースが多いことを報告した。

こうした分析結果を踏まえて国交省は、工事内容などによって不調・不落リスクが高い工事や早期契約が必要な工事を除き、段階的選抜方式を基本とすることを提案。従来は参加者を10者程度に絞り込むことが多かったが、工事内容によってはさらに絞り込むことで参加者を減らし、手続き期間を短縮するなどの改善方法も示した。

今後、「国土交通省直轄工事における総合評価落札方式の運用ガイドライン」の見直しなどに反映させていく考えだ。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る