2016/03/15 国交省/土木工事積算基準を改定/ICT建機の経費上乗せ、「橋梁保全工事」新設

【建設工業新聞 3月 15日 1面記事掲載】

国土交通省は14日、16年度の直轄土木工事・委託業務に適用する積算基準を公表した。生産性向上策の「i-Construction」の本格展開に合わせ、情報通信技術(ICT)を導入する工事の新たな積算基準を制定。ICT建機を導入する場合のリース料や初期導入経費を上乗せして一般の建機を使う場合に比べて費用が増える分を賄い、ICT建機の普及につなげる。4月1日以降に入札書の提出期限日が設定されている案件から適用する。

ICT建機を使った施工は、補助労務の省力化や効率化に伴う日当たり施工量の増加で労務費・その他経費が減少するが、機械経費の増加分を足し合わせると、1・5万立方メートル程度の土工で標準施工に比べてコストが1・1倍に増える。そのため、ICT建機の投資に見合った積算基準を導入することにした。

積算基準の改定では、メンテナンス産業を育成する観点から「橋梁保全工事」を新設する。橋梁保全工事はこれまで、道路維持工事、鋼橋架設工事、河川・道路構造物工事のいずれかの工種区分で発注されていたが、間接費(共通仮設費、現場管理費)が実態とかい離しており、老朽化に伴う補修が必要な橋が増えていることに対応した。

維持工事の積算方法も改定。2カ年の国庫債務負担行為で行う工事は2カ年分の積算を一つの設計書で作成していたが、これを1カ年分ずつ積算する方法に変更。それぞれの年度の設計書を集計して予定価格を設定することにした。維持工事は、複数年工事でも単年度の出面精算を行っており、スケールメリットが小さいことが課題となっていることに対応した。

このほか、東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)での工事量の増大による資材やダンプトラックなどの不足を考慮して直接工事費を補正する「復興歩掛かり」などの特例措置を16年度も継続することにした。

港湾請負工事積算基準も改定。実態調査の結果を踏まえ、基準とのかい離が確認された3工種11項目を対象に、石材投入工の施工能力の見直しやケーソン製作工の作業機械の運転日数の見直しなどを行い、歩掛かりを改定した。船舶と機械器具等の損料算定基準も改定。ポンプ浚渫船など12船種の供用日当たり損料額を1~8%引き上げ、平均で損料額が2%アップした。

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