2016/03/28 日建連/社会保険加入へ取り組み強化決議/「2次下請以下も促進」確認

【建設工業新聞 3月 28日 1面記事掲載】

日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は、下請業者の社会保険加入を促す取り組みをさらに強化する方針を25日の理事会で決議した。社会保険に加入していない2次以下の下請業者と再下請負契約を締結しないよう1次下請の指導を徹底する措置を4月から講じることにしており、その実行をあらためて確認した。既に複数の会員企業がこの措置の実行を表明しており、今後協力会社組織を含めて社会保険加入を進める動きが一段と活発化しそうだ。

社会保険加入をめぐっては、国土交通省が17年度をめどに企業単位で建設業許可業者は加入率100%、労働者単位では製造業相当(90%)とする目標を設定。これに呼応して日建連は、15年1月に「社会保険加入促進要綱」を策定。担い手の確保・育成の一環として、17年度以降には工事現場のすべての労働者が適正に社会保険に加入していることを目標に掲げ、未加入の2次以下の下請業者とは契約しないよう1次下請業者を指導する措置などを盛り込んだ。

同日の理事会で決議を行った背景には、目標期限が迫っているのに加えて、現場作業の担い手の確保が避けられない事情がある。決議は、社会保険未加入企業の排除を強調した内容にもなっており、理事会後の記者会見で中村会長は「残り1年を切ってくる。あらためて会員企業の足並みをそろえていく」と意欲を見せた。

促進要綱の策定以降、一部の会員企業は対応を加速させており、ある準大手ゼネコンは、15年4月以降に契約する工事から、社会保険未加入の1次下請とは元下契約を締結しないルールの厳格な運用を始めた。大手ゼネコンでも国の直轄工事であれば専門工事業者の社会保険加入率100%を達成させたり、社会保険加入の原資となる法定福利費を明示した契約の締結、支払いを徹底させたりと対応を本格化させている。

未加入の2次下請と1次下請との契約に関しても、再下請負契約を締結しない措置を4月から実施する方針を表明している会員企業が少なくない。「未加入の下請負業者は現場から原則排除する」と経営トップが決定した企業も出てきた。ただ、「2次下請業者の社会保険加入の割合は6割程度にとどまる。排除すれば生産は成り立たない」(準大手ゼネコン)現場も存在するとされる。それでも2次以下の加入の必要性は各社とも強く認識しているだけに、動向が注目される。

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