2016/05/25 国交省/民間工事請負契約適正化へ指針/施工上のリスクと負担、事前に協議を

【建設工業新聞 5月 25日 1面記事掲載】

国土交通省は23日、東京都内で開かれた中央建設業審議会(中建審、国交相の諮問機関)と社会資本整備審議会(社整審、同)合同の基本問題小委員会(大森文彦委員長)に、民間工事の請負契約の適正化を図る指針の概要を示した。関係当事者が支持地盤の深度など施工上のリスクを協議し、リスク負担の考え方について共通認識を持った上で契約を締結することが必要と明記。協議項目をリスト化し、品質や安全に対する信頼の確保につなげる。

建設工事は契約後や工事開始後に当初想定されていなかった施工上のリスクが常に存在する。このため工期や金額変更について関係者間の調整が難航して円滑な施工に支障を来す。そこで同省はトラブル抑制につなげる円滑な協議の枠組みを「民間建設工事の適正な品質を確保するための指針」(民間工事指針)としてまとめた。

指針は、事前準備の重要性や協力体制の構築、協議項目、適切な請負契約の締結・履行などが柱。請負契約に先立ち、発注者、設計者・工事監理者、受注者(施工者)の関係者間で施工上のリスクを協議し、リスク負担と請負代金、工期などの関係について共通認識を持つことが必要だとした。

地中部分の土工事には地歴情報などを基に必要な事前調査を行う。ボーリングなどの地盤調査会社が蓄積してきた情報や専門家の知見を活用することを明記。施工者の役割として、工事経験を基にしたリスクに関する情報提供や適正工期の提示などを挙げた。設計・施工には一貫型と分離型があり、施工者の決まる時期が異なるため、協議のタイミングに配慮する必要性も指摘した。

協議項目のリストは、▽地中関連(支持地盤の深度、地下水位、地下埋設物、土壌汚染)▽設計関連(設計図書との調整、設計間の整合)▽資材関連(資材納入)▽周辺環境(近隣対応、騒音振動、日照阻害など)▽天災(地震、台風など)▽経済(物価変動)▽その他(法定手続き)-で構成。特に留意が必要な項目として地中関連を挙げ、地盤調査や公的機関のデータベースなどを活用して調査を行い、専門家の知見も活用しながら適切に判断するとしている。

会合で委員からは「(関係者間の)リスク負担の基本的な考え方も盛り込むべきだ」「指針は基本的に新築が対象のようだが、新築より改修や修繕の方が不確定のことが多い」などの意見が出た。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る