2016/09/01 国交省/技術提案・交渉方式拡大へ/課題抽出し指針改定、フロントローディング実践

【建設工業新聞 9月 1日 1面記事掲載】

国土交通省は、最も優れた技術提案を行った参加者と価格や施工方法などを交渉して契約相手を決定する「技術提案・交渉方式」の拡大策を検討する。プロジェクトの上流段階から施工の知識や技術力を取り入れるフロントローディングを実践し、工事の品質確保や施工の効率化を図るのが目的。現在手続き中の事例を通じて課題や改善点を整理し、同方式の運用ガイドラインの改正に反映させる。今後の実施環境の整備・充実を進め、同方式の適用拡大を図る。

8月31日に開いた「総合評価方式の活用・改善等による品質確保に関する懇談会」(座長・小澤一雅東大大学院教授)で、国交省はフロントローディング実践のための技術提案・交渉方式の適用拡大の方向性を示した。

同方式は、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)に基づく多様な入札契約方式の一つに位置付けられている。発注者が最適な仕様を設定できなかったり、仕様を決める前提となる条件の確定が難しかったりする工事を対象に、民間事業者の技術・ノウハウを活用する。

国交省は直轄工事を対象にした同方式の運用ガイドラインを15年6月に策定。契約タイプを▽設計・施工一括▽技術協力・施工▽設計交渉・施工-の3類型から選定している。

近畿地方整備局が16年5月に公告した「国道2号淀川大橋床版取替等工事」(設計交渉・施工タイプ)、九州地方整備局が7月に公告した「熊本57号災害復旧二重峠トンネル工事(阿蘇工区)」「同(大津工区)」(技術協力・施工タイプ)で同方式を導入。発注手続きが進められているほか、他機関でも適用事例が見られる。

国交省は、同方式がフロントローディングの実践に有効で、導入の初期段階にあることから、適用拡大を図るための環境整備を進める。実施事例での手続きを通じて、技術協力業務や設計業務の適切な期間の設定、タイプごとの技術提案に関する評価項目の設定の考え方、価格の妥当性・透明性の確保方策などの課題を想定している。明らかになった課題や改善点を速やかにガイドラインの改正に反映させる。

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