2016/10/06 国交省/建設産業政策会議、10月11日初会合/関連制度枠組み検討、17年6月成果

【建設工業新聞 10月 6日 1面記事掲載】

国土交通省は、建設産業の将来展望や建設業関連制度の基本的な枠組みを検討する有識者会議「建設産業政策会議」を設置する。10年後も建設産業が「生産性」を高めながら「現場力」を維持できるよう建設産業政策を幅広く議論する。制定から約70年がたつ建設業法の改正も視野に、関連制度の基本的枠組みを検討する。11日に開く初会合では建設産業の現状と課題について議論。今後は1~2カ月に1回会議を開き、17年6月にも成果を取りまとめる。 

中央建設業審議会(中建審、国交相の諮問機関)と社会資本整備審議会(社整審、同)合同の基本問題小委員会(大森文彦委員長)が6月に公表した中間取りまとめには「建設業施策全般にわたって検討を深めることが望まれる」と明記された。これを受け国交省は、7月に開かれた中建審総会で、今後の建設産業政策を議論する「新たな検討の場」を設けることを提案していた。

同会議では、IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)など技術の劇的な進化や、労働力人口の減少といった事態を受け止め、生産性や働き方の現状と課題を議論。生産性の向上と現場力の維持につながるよう、業法をはじめ経営事項審査(経審)や技術者制度など関連制度の基本的枠組みを検討する。

建設現場の生産性向上施策「i-Construction」や、コンストラクション・マネジメント(CM)の研究会、技術制度検討会などの成果も同会議にフィードバック。議論の内容をより深めていく考えだ。

国交省ではこれまでも産業を取り巻く情勢に応じた政策を議論してきた。「建設産業政策大綱」(1995年4月)では技術と経営に優れる企業が成長できる競争環境の整備を提言。「建設産業政策2007」(2007年6月)では建設投資の急減を踏まえ、過剰供給構造の是正に向けた再編・淘汰(とうた)を打ち出した。

「建設産業の再生と発展のための方策2011」(11年6月)では技能労働者の賃金低下や若手入職者の減少に対応するため、社会保険未加入企業の排除などの政策を明記。「建設産業の再生と発展のための方策2012」(12年7月)では適正な競争環境の整備を提言し、担い手3法(建設業法、公共工事品質確保促進法、入札契約適正化法)へとつながった。

建設産業政策会議のメンバーは次の通り。

▽石原邦夫東京海上日動火災保険相談役▽犬飼あゆみ中小企業診断士▽岩田圭剛全国建設業協会副会長▽大内達史日本建築士事務所協会連合会会長▽大橋弘東大大学院経済学研究科教授▽大森文彦弁護士・東洋大法学部教授▽大類雄司みずほ銀行証券部部長▽岡本正日本建設業連合会インフラ再生委員会委員長▽小澤一雅東大大学院工学系研究科教授▽蟹澤宏剛芝浦工大工学部教授▽才賀清二郎建設産業専門団体連合会会長▽櫻井敬子学習院大法学部教授

▽高木敦モルガン・スタンレーMUFG証券調査統括本部副本部長▽高木朋代敬愛大経済学部教授▽高野登建設コンサルタンツ協会技術部部会長▽高橋一朗宮城県土木部技術参事兼事業管理課長▽田口正俊全建総連書記次長▽土志田領司全国中小建設業協会副会長▽西村達志住宅生産団体連合会建築規制合理化委員会委員長▽丹羽秀夫公認会計士・税理士▽野村春紀日本空調衛生工事業協会会長▽藤沢久美シンクタンク・ソフィアバンク代表▽古阪秀三京大大学院工学研究科教授▽矢口則彦日本建設業連合会災害対策委員会副委員長。

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