2016/10/18 国交省/工事の準備・後片付け期間を改定/下期発注で運用、7工種で定義も明確化

【建設工業新聞 10月 18日 1面記事掲載】

国土交通省は、適切な工期設定に向けた取り組みの一環として、工事の準備期間と後片付け期間を実態調査に基づき改定した。河川や海岸、トンネルなど7工種を対象に標準期間を設定。その他の工種も実態を把握した上で順次改定していく。最低限の期間という位置付けで、各発注者が標準期間を基にしながら現場の実態に即した期間を設定する。すべての地方整備局で、今後入札公告する直轄工事を対象に試行運用を始める。

準備期間と後片付け期間については、これまで地方整備局ごとに基準を設けており、同じ工種でも期間に幅が生じていた。このため業界側からは「ばらつきがある」「実態と乖離(かいり)している」などとの指摘があり、日本建設業連合会(日建連)では本体工事着手前の準備に必要な期間として約3・5カ月を提案していた。

国交省は実態に即した日数を工期設定に反映させるため、工種別に実態を把握する調査を実施。その結果に基づき7工種について標準期間を改定した。工種別の準備期間は、▽河川工事=40日▽河川・道路構造物工事=40日▽海岸工事=40日▽道路改良工事=40日▽共同溝等工事=80日▽トンネル工事=80日▽砂防・地すべり等工事=30日。後片付け期間は7工種とも20日を標準とした。

準備と後片付けの標準期間の設定に当たっては、それぞれの定義もあらためて明確化した。準備期間は「契約日の翌日から、直接工事費に関する工種に着手するまで」、後片付け期間は「直接工事費に関する工種の終了から、書類の作成や現場の片付けなどを実施し工事が完了するまで」としている。

国交省は本年度下期の直轄工事発注に関する方針の中に、十分な工期の確保を盛り込んだ。準備・後片付け期間の改善と、工期設定支援システムの試行導入に取り組む。

改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の運用指針では、発注者の責務として「適切な工期を設定するよう努めること」が明記されている。国交省は積算上の工期について、工種や工事規模ごとに過去の類似実績に基づいて算出し、現場状況や休暇なども考慮しながら適切に設定するよう努めている。

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