2016/12/13 国交省/公共工事発注見通し統合・公表/地域ブロック単位でリスト化

【建設工業新聞 12月 13日 1面記事掲載】

◇平準化、人材・資機材調達円滑化狙い

国土交通省は国や地方自治体がそれぞれ公表する公共工事の発注見通しを、地域ブロック単位で統合して公表する取り組みを推進する。東北地方整備局管内で先行実施している取り組みを全国に広げる。地区ごとに各発注機関の見通しを一元的にリスト化し閲覧できるようにし、施工時期の平準化につなげる。建設業者にとっては計画的な技術者の配置や円滑な資機材調達に役立つメリットがある。

地区単位の発注見通しの統合・公表は、13年11月に東北整備局で始まった。東日本大震災の被災地復興加速と東北全体の事業推進を図る観点から、東北地方発注者協議会に参加する国や県・市町村などの各発注機関が個別に公表する情報を一元的に見られるようにした。14年度には全国を北海道から沖縄まで計10ブロックに分け、各地方整備局などが運営するホームページ(HP)から管内の自治体や国の発注機関のHPにリンクが張られた。

国交省は、地区ごとに各発注機関の見通しを取りまとめ、リスト化して公表する東北整備局の仕組みを全国に広げたい考え。都道府県・政令市の土木部長らと建設業行政や入札契約制度などの課題や対応策について議論する16年度秋季「地方ブロック土木部長等会議」で、施工時期の平準化策の一つとして発注見通しの統合・公表を要請している。

年明けに開く北海道・東北ブロックを除く7ブロックと、17年度の運用開始に向けて調整を進めることを確認した。今後、地方発注者協議会で統合・公表の仕組みや地区の設定など詳細を詰めてもらう。

九州整備局と熊本県では、これから熊本地震の復興事業が本格化するのを前に、県内の発注機関の見通しの統合・公表を進めている。発注が集中する復興事業を円滑に執行するのが狙い。今回、平常時に発注見通しの統合・公表の仕組みを整備しておくことで、「非常時にも必ず役立つ」(国交省官房技術調査課)としている。

会議は「改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の運用指針などの徹底」と「建設現場の生産性革命の推進」の2点がテーマ。運用指針関連では施工時期の平準化のほか、適切な設計変更やダンピング対策、監督・検査の厳格化・合理化など国交省の取り組みを説明。準備を進めている運用指針に関する全国統一指標なども紹介しながら、市町村への浸透・徹底について協力を要請している。

建設現場の生産性向上策「i-Construction」については、16年度に直轄工事で導入したICT(情報通信技術)土工を都道府県発注工事にも普及させるための対応策を議論。自治体側からは小規模施工の事例の紹介や地域建設業者の経営的メリットの説明材料を整備してほしいなどの要望が出ている。

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