2017/01/30 国交省/受発注者間の工程共有、直轄土木で原則化/17年度から、責任を明確化

【建設工業新聞 1月 30日 1面記事掲載】

国土交通省は受発注者間で工事工程を共有する取り組みを17年度に直轄の全土木工事で原則化する。全体工期を左右するような作業工程(クリティカルパス)や、関連する未解決課題の対応者・対応時期を共有。受発注者の責任を明確化する。施工途中で受注者側に責任のない工程遅れが生じた場合は適切に工期変更を行う。近く各地方整備局や北海道開発局、沖縄総合事務局に文書で通知する。

26日に開いた日本建設業連合会(日建連)との16年度第3回意見交換会フォローアップ会議で、国交省が工事工程の共有化を17年度にルール化することを表明した。

工程共有はクリティカルパスや、施工上の課題とその解決時期・対応者を受発注者間で共有する取り組み。発注者が示した設計図書を踏まえ、受注者が作成した施工計画書(工程表)を双方が会議などの場で共有。工程表には、工種ごとの作業期間など施工者側の工事工程だけでなく、用地収用や障害物件移設など発注者側の対応時期も明示する。

施工計画に影響する事項がある場合には、その内容と受発注者の責任を明確化。双方で工程情報を共有しながら、工期の遅れが生じないように努める。施工途中で受注者の責任に当たらない理由で工程の遅れが生じた場合には、遅れに伴う必要日数について工期変更を必ず実施する。

国交省は14年度から受発注者間で工事工程を共有する取り組みを試行。これまでに全国で20件以上実施している。

試行対象となった工事では、盛り土材の搬入計画がクリティカルパスに大きく影響することを受発注者双方が認識したことで、「施工上の課題や責任分担を明確化できた」「限られた搬入路を共有するなど効率的に施工できた」などの効果を確認した。関連工事との工程調整によって設計の現場打ち函渠工では予定通りの施工ができないことが判明した工事では、プレキャスト製品に変更して全体工程への影響を抑えることができたという。

試行の成果を踏まえ、受発注者間の工程共有を17年度にすべての直轄土木工事で原則化することにした。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る