2017/03/22 長時間労働是正/政府、働き方改革実行計画に「施主の理解」明記へ/協議の場設置も

【建設工業新聞 3月 22日 1面記事掲載】

政府は今月末に策定する「働き方改革実行計画」で、残業時間規制の適用除外となっている建設業と運送業の長時間労働是正に向け、「施主や荷主の理解を求める」ことを明記する方向で調整に入った。計画を受けて国土交通省は、民間を含めた建設工事の受発注者が参加する協議の場を設置する考え。長時間労働是正の必要性や具体策について双方が理解して取り組めるようにするとみられる。

17日の働き方改革実現会議で石井啓一国交相は、時間外労働規制の適用除外とされている建設業、運送業について、両業界との意見交換を踏まえて「見直した方が将来プラスになる」と主張した。

これを受けて安倍晋三首相は「長年の慣行を破り、猶予期間を設けた上で、実態に即した形で時間外労働規制を適用する方向としたい」とし、36(さぶろく)協定の大臣告示の適用除外とされている両業界への適用に向けた調整を石井国交相に託した。加えて、両業界の長時間労働を是正するため、「荷主、施主の協力を含めて全政府的なバックアップが必要。関係大臣、産業界の全面的な協力をお願いしたい」と述べた。

月末に決まる実行計画を受けて国交省が設置を目指す受発注者の協議の場では、長時間労働の是正や週休2日を取得する上で欠かせない適正な工期設定などが双方の理解の下で進められるようにする。運送業については、学識経験者、労働組合、行政、荷主、トラック運送業が参画する「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」を設置済みで、長時間労働削減のパイロット事業に取り組んでいることなどを参考にする。

17日の会議では時間外労働の上限規制に関する政労使の提案も示された。経団連と連合による労使合意を踏まえた上限時間は原則「月45時間・年360時間」とし、違反すると罰則を科す。特例で労使協定を結べば上限を「年720時間(月平均60時間)」とすることも認める。繁忙期には年720時間以内で上回ることのできない上限も設定。1カ月だけなら休日労働を含め「100時間未満」、2カ月以上は「平均80時間以内」を満たさなければならないとした。

上限規制の適用が除外されている建設業と運送業について連合は、実態を踏まえた適用を要請。実行計画では、両業界への適用に当たって猶予期間を明記する方向で調整する。

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