2017/03/23 国交省/地域建設業の課題・役割で論点整理/産業政策会議WGで議論へ

【建設工業新聞 3月 23日 1面記事掲載】

国土交通省は22日、10年後を視野に建設産業政策を議論する有識者会議「建設産業政策会議」の下に設置した「地域建設業ワーキンググループ(WG)」(座長・大橋弘東大大学院教授)の会合を同省で開き、地域建設業の課題や役割に関する論点整理を示した。安定経営のための企業規模や閑散期の仕事の創出、公務に協力する企業の位置付け、インフラの維持管理業務の発注体制などを列挙。今後どのような取り組みが必要かをWGで議論する。

国交省は地域建設業の実態や経営環境を把握するため、都道府県、建設業関係34団体、建設企業19社、市町村49団体にアンケートを実施。この結果などを基に、▽地域建設業の経営▽地域建設業に期待される役割▽市町村の発注体制・民間委託などによる発注体制の補完-の三つの切り口で論点を整理した。

経営面では、経営プロセスの改善や専門性を生かした技術開発、建設業周辺需要の取り込みなど各地域での事例を踏まえ、技術開発を企業収益の向上にどうつなげていくか、新分野進出の再検討などを論点に挙げた。閑散期に仕事の機会を創出する地域ぐるみの取り組みや、安定経営や経営基盤の強化を図る上で必要な企業規模も検討課題として提起している。

地域建設業に期待される役割を「地域インフラの担い手」「災害時の応急対応」「地域経済の中心」の3点に整理。その上で、地域企業を、受発注者の枠組みを超えて地域の安全・安心などを協力して確保するパートナーと位置付けることを検討すべきだとした。地域経済の活性化や雇用の受け皿にもなる建設業の振興策を市町村が積極的に進めることも論点に挙げた。

地域インフラの適切な維持管理のため共同受注をさらに進める必要があるとも指摘した。共同受注のメリットや課題を整理し、海外の事例も参考にして新たな契約制度を検討することも挙げた。

市町村の発注体制については、技術力が求められる維持管理業務の発注や、緊急時の災害対応などを見据えた補完体制の整備を挙げた。自治体への調査によると、民間委託の活用が必要との意見も多く、将来にわたって発注体制を維持することが困難な場合は、民間委託などを積極的に活用すべきではないかと指摘している。

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