2017/03/28 日建連/週休2日、5年で定着めざす/推進本部で17年度に行動計画策定

【建設工業新聞 3月 28日 1面記事掲載】

日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は、働き方改革の取り組みを一段と推進する。27日に本部で開いた理事会で決議を採択するとともに、井上和幸清水建設社長を本部長とする「週休二日推進本部」の設置を決定した。推進本部が17年度に行動計画を策定。約5年で週休2日の定着を目指す。井上氏は「民間発注者の理解」を課題に挙げながらも、「産業の成長に避けて通れない」と実現への意気込みを語った。

理事会で採択したのは、「建設業に対する時間外労働の上限規制の適用に関する決議」。建設業の実労働時間が長い要因として週休2日が定着していないことを挙げ、「官民のあらゆる分野で週休2日が定着した中で、建設業だけは周回遅れ」と指摘。5年程度での週休2日の定着と、その実現に向けて工期の延長とコストアップを官民の発注者と社会全体に受け入れてもらえるよう政府に働き掛ける考えを示した。

週休2日への移行に伴い、時間外労働が増える場合でも、政府が検討中の労働関連法令改正に伴う猶予期間の中で法令に適合させることをうたっている。

推進本部は、実労働時間が全産業平均より年間約300時間長いとされる建設業就業者の長時間労働是正を先導する。本部員として土木、建築分野でそれぞれ会員企業16社の首脳クラスが参加する。計32社ですべての会費ランクの企業を網羅する。建設現場の土曜閉所や段階的一斉実施といった取り組み方法や目標となる「基本方針」に加え、賃金改善、工期設定、現場管理、価格体系に関する具体策や、工期延長・コストアップを発注者に受け入れてもらう方策などを検討。特急料金、閑散期の料金など「踏み込んだ検討」(日建連幹部)を視野に入れている。取り組みのフォローアップも行っていく。

日建連は、政府の「働き方改革実現会議」(議長・安倍晋三首相)が、時間外労働規制を強化する方向で最終調整に入っていることもあり、働き方に関する姿勢を内外に示す考え。建設業を時間外労働の上限規制の適用対象とすることに関しては、「長時間労働の是正は担い手確保に不可欠」とする石井啓一国土交通相の指導に応じ、受け入れを表明済みだ。

理事会後に記者会見した井上氏は、工期延長と日給制技能者の総収入を下げないためのコストアップに対する顧客の理解に加え、「適正な工期、金額を受注活動でキープすること」をポイントに挙げた。顧客の理解に関しては、「分かりやすい丁寧な説明を心掛ける」とした上で、「労務を集める費用など応分の負担をしてもらうための説明も必要。高くなるだけでなく、この時期なら安くなるという共にメリットのある話もしたい」と述べた。

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