2017/04/04 国交省/生産性2割向上へ工程案提示/維持管理にICT、19年度導入めざす

【建設工業新聞 4月  4日 1面記事掲載】

国土交通省は3月31日、産学官でつくる「i-Construction(建設現場の生産性向上策)推進コンソーシアム」の全体マネジメントを行う企画委員会を省内で開いた。国交省は、16年度の成果と17年度の取り組みを踏まえ、2025年度までに建設現場の生産性2割向上に向けたロードマップ(案)を提示した。

ロードマップ案では、25年度に向けて、まず19年度をマイルストーンに設定。維持管理へのICT(情報通信技術)の導入・拡大や、公共工事の3次元(3D)データを利活用するルールやプラットフォームの整備などを目指すとした。

委員からは「維持管理は人工知能(AI)とドローン(小型無人機)の研究が必要になる。そのタイミングが時間軸で示されたことで、ベンチャーは研究開発に取り組みやすくなる」「(生産性向上が)劇的な効果が見込めるプロセスを見付けていくとともに、無理・無駄な部分を可視化していくことも必要」などの意見が出た。

コンソーシアム(会長・小宮山宏三菱総合研究所理事長)は1月30日に458者の会員で発足し、3月1日時点で618者に増加。具体的な活動を進める3WGのうち、技術開発・導入と3Dデータ流通・利活用の2WGが始動している。

会合の冒頭、国交省の根本幸典政務官は「産学官が一体となって建設現場の生産性向上と働き方改革に取り組むため、企画委員会がエンジンとなるよう活発な議論をお願いしたい」と要請。委員長を務める小宮山氏は「産学官で具体的な実効を上げていきたい。あらゆるデータを保持し、共有する体制を今作らなくてはいけない」と述べた。

国交省はi-Constructionのトップランナー3施策の16年度実績を報告。17年度の取り組みとして、ICT活用工事の対象工種拡大やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の導入などについて説明した。

16年度に実施したICT土工では時間・工期の短縮効果が出ている。委員からは、こうした成果をさらに引き出す一方で、「目的は短縮ではなく新3K(給与・休暇・希望)を目指すこと」「ICTを活用して働き方改革につなげるという視点も大切だ」との指摘も出た。

WGの活動状況も報告。建設現場のニーズと最先端技術のシーズのマッチングイベントについて、委員から「技術開発のスピードは速い。年に2回や4回という間隔でレギュラーイベントにした方がよい」といった提案もあった。

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