2017/04/11 国交省/「段階的選抜」活用進む/総合評価方式運用指針改定が後押し

【建設工業新聞 4月 11日 2面記事掲載】

改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)で多様な入札契約方式の一つに挙げられている「段階的選抜方式」の活用が進んできた。国土交通省は同方式の考え方などを総合評価方式の運用ガイドラインに明記するなど活用を後押し。ここ数年減っていた直轄工事での実績が16年度は約15件(15年度9件)に増えた。17年度予算執行に当たり官房長名で出した通達に同方式の「さらなる活用」を明記した。

段階的選抜方式は総合評価方式の技術提案評価型のうち、あらかじめ一定水準以上の技術力や実績などを保有する企業だけに絞り込んでから入札を行う仕組み。直轄工事全体での実績は、試行を始めた12年度に39件、13年度に25件、14年度に18件、15年度に9件と減少傾向にあった。

国交省は同方式の本格導入に向け、総合評価方式の運用ガイドラインを16年4月に改定。受発注者の事務量軽減や適正審査の確保を目的に、総合評価方式の一般競争入札で段階的選抜方式を行うと明記した。技術提案評価型(A型、S型)では技術提案を求める競争参加者が比較的多くなることが見込まれる工事で活用を検討することや、絞り込み基準の設定として1次審査の評価結果を踏まえた落札可能性などを考慮することなど、同方式の考え方や手続きなどを示した。

参加する企業は実績は豊富で、一定以上の工事品質を確保する技術力を有しているが、「企業の能力等」の評価点が高くても選抜されない企業が出ている可能性に留意する必要がある。国交省では選抜企業が固定化しないような方策を試行していく考えだ。

同方式を対象にした新たな取り組みも始まっている。建設現場で男女が共に働きやすい環境づくりを推進するため、直轄工事でワークライフバランス(WLB=仕事と家庭の調和)の活動に関する法定の優良企業認定制度を活用した加点評価を試行。16年度から一般土木A等級工事などで進めており、中国地方整備局のトンネル工事で実施した。17年度は試行工事を他の地方整備局にも拡大する。

指針改定など同方式の活用を積極的に後押しした結果、16年度は直轄工事全体で約15件が実施された。

17年度の官房長通達では、総合評価方式の適切な運用と技術評価点の加算点の適切な設定として、段階的選抜方式のさらなる活用など技術力評価の簡素化・効率化に努めるよう求めた。段階的選抜方式の実施に際し、一般競争入札の過程の中で実施することも明記した。

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