2017/04/26 国交省/週休2日工期設定支援システムの精度向上へ/実績蓄積しAI活用も

【建設工業新聞 4月 26日 1面記事掲載】

国土交通省は、建設業の働き方改革を実現する一環として導入した週休2日の工期が設定できる「工期設定支援システム」の精度をさらに高める。17年度から原則としてすべての土木工事に適用し、実績を蓄積。工事全体の標準的な工程に沿って工種を自動的に並べる機能などを持たせる。今後、実績や経験を学習する人工知能(AI)の活用も進めていく。

工期設定支援システムは、標準的な作業日数と作業工程を自動算出するのが特徴。同種工事の実績と自動的に比較・確認ができる。

具体的にはまず、歩掛かりの日当たり施工量を基に工種ごとの所要日数を自動算出するとともに、その日数に応じたバーチャートを自動作成する。各地域ごとに設定されている「雨休率」を入力すると、これを考慮した日数に変更。準備・後片付け期間も工事区分に応じて標準日数を自動に設定できる。

施工フローや類似工事の実績を基に、工種ごとに標準的な作業手順による工程を自動的に作成。出水期や降雪期、地元対応などで工事ができない期間を個別にバーチャートに反映させることも可能だ。過去の類似工事実績と比較して工期の妥当性を確認し、適正な工期を確保する。

国交省は17年度から同システムを原則としてすべての直轄土木工事(維持工事や緊急対応工事などを除く)に適用する。実績を重ねることで、システムの精度向上と改善を推進。工種ごとの工程を、工事全体の標準的な工程に沿って自動的に並べる機能を持たせることなどを検討するほか、実績や経験を学習して精度を高めるAIの活用も進めていく考えだ。

政府の働き方改革実現会議(議長・安倍晋三首相)が3月28日に決定した働き方改革実行計画は、建設業の働き方改革について、適正な工期設定や適切な賃金水準の確保、週休2日の拡大など民間も含めた発注者の理解と協力が不可欠と指摘。時間外労働の上限規制適用に向けた環境整備を進めるのと併せ、業界などの取り組みに支援措置を実施すると明記した。

これを受け国交省は同日付で「週休2日の推進に向けた適切な工期設定について」と題した官房技術調査課長名の文書を各地方整備局と北海道開発局、内閣府沖縄総合事務局に送付。さらに官房技術調査課建設システム管理企画室長名で、適切な工期設定の具体的な運用に関する文書を通知し、工期設定支援システムのデータを添付している。

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