2017/05/15 日建連/週休2日実現へ発注機関への対応開始/4週5休未満の是正めざす

【建設工業新聞 5月 12日 1面記事掲載】

日本建設業連合会(日建連)は、週休2日の実現に向けた発注機関に対する取り組みを本格的に開始した。11日に始まった国土交通省など公共発注機関との意見交換会で、実現のための環境整備として、適切な工期設定と工程管理、適正な労賃の確保、生産性の向上を訴え、受発注者が連携した取り組みを要請。工期・工程の余裕が乏しく、長時間労働が常態化しているとして、対応を強く求める。

意見交換会に当たって、土木本部(本部長・宮本洋一清水建設代表取締役会長)が16年11月から17年3月にかけて会員企業に行ったアンケートによると、工事開始時の休日設定が4週5休以下との回答が60%(前回67%)を占めた。内訳は4週4休以下が45%(52%)、4週5休が15%(15%)。4週6休以上40%(33%)のうち4週8休は10%(11%)にとどまった。日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)の調査では、外勤技術者の1カ月の時間外労働は依然70時間を超えている。

週休2日を導入するための課題のトップは「工程の余裕」(回答割合89%)。工程に余裕を持たせるために発注者に求めたい対応(複数回答)には「適切な工期設定」(96%)が最も多く挙がり、工程と工期が休日を増やす課題の一つとなっていることが浮き彫りになった。

工程と工期について、意見交換会では施工計画書の提出、工事情報の開示、工程の共同管理をテーマにする。施工計画書は国交省直轄工事では通常30日以内の提出が求められているが、アンケートではトンネル工事の場合、発注者の手続き待ちを含めて60~250日かかっていた。精度の高い計画書の提出を30日目に求められた現場もあった。

そこで、▽30日以内の提出に精巧な内容を求めない▽協議による提出期限の柔軟な対応▽最低限の内容の後、詳細を提出するルール化-を求める。工程管理については、「受注者の仕事と指摘されるのは承知済み」(日建連幹部)としつつ、工程の遅延対策と休日確保に効果的な共同管理を要請し、マニュアルの整備などを求める。

週休2日の実施は日給制作業員の収入減にもつながる。協力会社からの回答では、76%以上が週休2日で所得が減ると指摘し、補てんが必要との回答が89%に達した。日建連は、単価改善を求めると同時に、書類様式の統一やシステム化による業務の効率化など処遇改善の余力を生む生産性向上への対応、完全週休2日を契約条件とする措置なども要請する。

17年度の意見交換会は、日建連が週休二日推進本部(本部長・井上和幸清水建設社長)を設置して以降、会員企業が複数の公共発注機関と向き合う初めての場となる。

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