2017/06/07 日建連意見交換会/現場業務の効率化で議論進展/書類削減や標準化、双方にメリット

【建設工業新聞 6月 7日 1面記事掲載】

日本建設業連合会(日建連)と国土交通省など公共発注機関が行っている各地区の意見交換会で、工事現場の業務の効率化に向けた議論が進展している。国交省の地方整備局をはじめ工事書類の削減や標準化に意欲的な発注機関が多く、高速道路会社は仕事の標準化を日建連と共に推進中。受発注者とも「少ない人数でどう仕事をするかが課題」(中神陽一北陸整備局長)で、効率化が一段と加速する兆しがある。

ゼネコンの現場勤務職員は、日常の施工管理業務に加え、工事関係書類の作成や設計変更など受発注者の協議に備える仕事も多い。「時間外労働が多いのは技能者ではなく現場の技術者。書類を減らし、発注者の判断の統一もお願いしたい」。5月24日の北陸地区の会合で日建連の土屋幸三郎公共積算委員長はそう要請した。会合で日建連は業務の効率化について、▽書類の削減・電子化、簡素化(特記仕様書の改定)▽業務の自動化、仕事の標準化▽監督・検査業務の効率化-を求めている。

業務の効率化は、発注者側の対応も活発化している。中部整備局は16年に土木工事の特記仕様書を改定。10項目について書類を削減したり、主任監督員と技術検査官のダブルチェックを廃止したりする措置を講じ、同年10月からはこの措置が全国展開された。四国整備局は完成検査時に不必要な書類を明確にし、受発注者双方の負担を軽減する措置を講じている。

北陸整備局は、北陸地区の会合で「監督職員と『協議』」となっている事項を▽指示▽承諾▽提出-に分かりやすくする試行工事を約20件発注する方針を表明。日建連の宮本洋一土木本部長は「大変ありがたい」と謝意を示し、小原好一土木本部副本部長は全国展開を要請した。

監督職員の協議・指示は、担当者によって受注者に求める対応に幅がある。日建連と東日本・中日本・西日本の高速道路会社3社は、人的要因に伴う課題を解決するための「手引書」を17年度に作成する。「高速道路会社が実行するのだから、対応してくれるはず」(日建連幹部)と日建連は国交省にも同様の対応を期待する。

生コン関連の業務の効率化も進みそうだ。JIS認定の取得など出荷工場での品質確保が徹底しているため、日建連の会員企業の半数以上はコンクリート圧縮強度試験の立ち会いを「負担」と認識。高速道路会社3社が回答した調査でも、3社の職員の4割、3社から施工管理を請け負っているコンサルタントなど施工管理員の3割が同試験の「検査・立ち会い」の簡素化を望んでいた。情報通信機器を利用したチェックなどに前向きな意見もあり、生産性向上につながる新しい措置の導入も期待される。

意見交換会は12日の九州まで残り2地区。日建連は「現場の業務の全国統一」(小原副本部長)を目指し、踏み込んだ議論を求める。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る