2017/06/20 国交省、総務省/建設業の処遇改善で自治体に協力要請/社保加入業者に限定発注

【建設工業新聞 6月 20日 1面記事掲載】

国土交通、総務両省は、地方自治体に建設業の社会保険加入促進に対する協力を要請した。自治体が工事を発注する際、社会保険の加入原資となる法定福利費を予定価格に適切に反映させるとともに、2次以下の下請業者を含め施工に携わる企業を社会保険に加入している業者に限定するよう要請した。働き方改革の一環として適正な工期設定や適切な賃金水準と休日確保の取り組みも求めた。

国交省土地・建設産業局長、総務省自治行政局長の連名で「建設業における処遇改善等に向けた公共工事の発注について」と題した要請文書(15日付)を都道府県知事と政令市長、各議会議長に送付。管内の市区町村への周知も要請した。国交省は建設業106団体にも通知した。

国交省が都道府県を対象に6月時点の社会保険加入対策の取り組み状況を調査したところ、2次以下の下請業者が未加入だった場合、41団体が未加入業者に何らかの対策を講じているものの、元請業者に制裁金請求など実効性の高い対応を行っているのは4団体にとどまっていた。

こうした状況を踏まえて今回、自治体に対し、発注工事で下請も含めて施工に携わる建設企業を法令に基づく必要な社会保険に適切に加入している業者に限定するよう要請した。要請文書には、国交省が4月から直轄工事で実施している2次以下の社会保険未加入下請業者を排除する取り組みを参考として明記した。

社会保険加入を促進するには法定福利費の確保が特に重要だと強調。同省直轄工事では社会保険料の事業主負担分を現場管理費に、個人負担分を公共工事設計労務単価にそれぞれ計上していることを参考に、法定福利費を予定価格に適切に反映させるよう求めた。

政府の働き方改革実現会議(議長・安倍晋三首相)が3月に決定した働き方改革実行計画は、建設業の働き方改革について、適正な工期設定や適切な賃金水準の確保、週休2日の拡大など民間も含めた発注者の理解と協力が不可欠と指摘している。これを受け今回、改めて適正な価格による契約と適正な工期設定を徹底し、適切な賃金水準と週休2日など休日の確保を促進するよう求めた。

国交省は5月に都道府県の担当者と社会保険加入対策に関する会議を初開催。都道府県や政令市の発注工事でも直轄工事に準じた対策を徹底し、市町村工事にも浸透させることなどを要請した。この会議を踏まえ、社会保険加入の促進と、適切な賃金水準と休日の確保促進の徹底による処遇改善を通じた担い手の確保育成に一層力を入れて取り組むよう文書を出した。

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