2017/08/17 国交省/現場離れての技術研修参加は可能/技術者の「専任」で通知、施工体制確保前提

【建設工業新聞 8月 17日 1面記事掲載】

国土交通省は、現場に専任配置された技術者が技術研修への参加で一時的に現場を離れるのが可能であることを周知する文書(9日付)を、建設業団体や各公共工事発注者などに送付した。必要な資格を持った代理の技術者を立てるなどして、適切な施工体制を確保していれば認められる。建設業法上の専任制度の取り扱いを明確化することで、技術者が研さんに向けた研修に参加しやすい環境を整える。

監理技術者や主任技術者の現場への専任配置が必要なのは、請負金額が3500万円(建築一式7000万円)以上の工事。配置された技術者は、他の現場を兼務せず、常時継続的にその現場の職務に従事しなければならない。

土地・建設産業局建設業課長名で出した通知文書では、専任の技術者が常時継続的に現場に滞在する「常駐」を必要とするものでないことを明確化した。

具体的には、代理の技術者を現場に配置し、出先でも連絡が取れたり、必要に応じて現場に戻れたりするなど、適切な施工体制が確保されていれば、技術研さんのための研修、講習、試験などで短期間現場を離れても差し支えない。その場合、発注者、元請、上位の下請などにそうした体制を確保していることへの了解を得ることが前提になる。

国交省の「適正な施工確保のための技術者制度検討会」は6月にまとめた報告書で、技術者が常に最新の技術を習得するため、「継続的に技術研さんを積んでいくことが必要」と提言。これを受け、現場の技術者でも研修にちゅうちょなく参加できる環境づくりの一環として、今回の通知を出した。

専任技術者を兼務することも多い現場代理人について公共工事標準請負契約約款では常駐を求めているが、特段の支障がなく、発注者と連絡が取れるようにしておけば常駐を要しないことも明記されている。

群馬県建設業協会(青柳剛会長)は、会員各社の技術者向けに県内で受講できるICT(情報通信技術)土工研修を9月に始動。生産性向上策i-Constructionの全体概要と、起工測量、3次元(3D)モデル設計、ICT施工、出来形管理に至る一連工程を無理なく学べるよう、計5日間のカリキュラムを分散して設定している。

群馬県も群馬建協の取り組みに呼応し、現場代理人や主任・監理技術者が研修に参加する場合、代行する技術者名や現場を離れる期間などを事前に監督員に知らせておけば認めることを土木事務所などに周知済み。青柳会長は、国交省や県の措置で専任制度に関する発注者の理解が進めば、「技術者がスキルアップを図る後押しになる」と期待を込める。

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