2017/08/30 働き方改革省庁連絡会議/適正工期設定指針決定/国直轄工事で徹底、民間にも要請
【建設工業新聞 8月 29日 1面記事掲載】
建設業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議(議長・野上浩太郎内閣官房副長官)の第2回会合が28日に首相官邸で開かれ、官民の建設工事を対象にした適正工期設定のためのガイドラインを申し合わせた。国はガイドラインに沿った工事の実施を徹底し、地方自治体や独立行政法人にも取り組みを要請。民間発注者団体にも内容を周知し、理解と協力を求める。=2面に関連記事
ガイドラインは、建設業への時間外労働の上限規制の適用に向けた取り組みの一つ。発注者や国民の理解を得るため生産性向上に業界を挙げて取り組むことを要請。その上で下請契約も含め適正な工期設定などを通じて適切な労務管理と働き方改革につなげ、魅力的な産業として将来にわたって担い手を確保していくのが狙い。
受発注者が相互理解と協力の下、取り組むべき事項を▽適正な工期設定・施工時期の平準化▽社会保険の法定福利費や安全衛生経費の確保▽生産性向上▽下請契約での取り組み▽適正な工期設定などに向けた発注者支援の活用-の五つにまとめた。
適正な工期設定では建設工事のすべての従事者が時間外労働規制に抵触しないよう、休日の確保や準備・後片付け期間の設定などに考慮するよう要請。国土交通省直轄の土木工事で導入している工期設定支援システムなどを参考に挙げた。週休2日の確保を考慮した工期を設定した場合、公共工事では共通仮設費など必要経費を請負代金に適切に反映。民間工事でも公共工事を参考に適切に反映するよう努めるとした。受注者は工期ダンピングを行わず、下請契約でも適正な工期を設定すると明記した。
受発注者の連携などを通じて建設生産プロセス全体で生産性向上を推進。受注者自らの一層の取り組みが不可欠だとし、ICT(情報通信技術)活用や技能労働者の多能工化などを積極推進するよう要請。発注者には、受注者の生産性向上に向けた取り組みや提案への理解と支援を求めた。
下請契約代金の支払いはできる限り現金払いとするよう要請。日給制の技能労働者などの処遇改善に十分留意することも明記した。
関係省庁は民間発注者団体に対し、適正な工期設定などに関する普及啓発に努める。官民の発注の実態や長時間労働の是正に向けた取り組みも含めてガイドラインの取り組み状況をフォローアップし、適宜内容を見直すことも盛り込んだ。
会議ではガイドラインの決定を受け、野上議長が「各省庁の直轄工事で徹底を図り、自治体や民間発注の工事にも浸透させるため、関係する行政機関や業界団体などに対し周知・徹底をお願いしたい」と要請。建設業が人材で成り立っている産業との認識を示した上で、「今後も長時間労働の是正や週休2日の確保に向けた取り組みを政府一丸となって強力に推進していく」と述べた。
適正工期設定ガイドラインの主な内容は次の通り。
■時間外労働の上限規制の適用に向けた基本的な考え方
【請負契約の締結に係る基本原則】
▽受発注者は法令を順守し、双方対等な立場に立って請負契約を締結
【受注者の役割】
▽受注者(元請)は下請も含め建設工事に従事する者が長時間労働を行うことを前提とした不当に短い工期となることのないよう、適正な工期での請負契約を締結
▽民間工事においては工期設定の考え方等を受発注者が適切に共有
【発注者の役割】
▽発注者は施行条件等の明確化を図り、適正な工期での請負契約を締結
【施工上のリスクに関する情報共有と役割分担の明確化】
▽受発注者は工事実施前に情報共有を図り、各々の役割分担を明確化
■時間外労働の上限規制の適用に向けた取り組み
【適正な工期設定・施工時期の平準化】
▽工期の設定に当たっては「建設工事従事者の休日(週休2日等)の確保」「労務、資機材の調達等の準備期間や施工終了後の後片付け期間」「降雨日、降雪・出水期等の作業不能日数」等の条件を適切に考慮
▽週休2日等を考慮した工期設定を行った場合には、必要となる共通仮設費等を請負代金に適切に反映
▽受注者は違法な長時間労働につながる「工期のダンピング」を行わない
▽予定された工期での工事完了が困難な場合は、受発注者双方協議の上で適切に工期を変更
▽発注見通しの公表等により施工時期を平準化
【社会保険の法定福利費や安全衛生経費の確保】
▽社会保険の法定福利費等の必要経費について、請負代金内訳書に明示すること等により、適正な請負代金による請負契約を締結
【生産性向上】
▽受発注者の連携により、建設生産プロセス全体における生産性を向上
▽受注者は工事現場のICT(情報通信技術)化等による施工の効率化を推進
【下請契約における取り組み】
▽下請契約においても、長時間労働の是正や週休2日の確保等を考慮して適正な工期を設定
▽下請代金は、できる限り現金払いを実施
▽週休2日の確保に向け、日給制の技能労働者等の処遇水準に留意
▽一人親方についても、長時間労働の是正や週休2日の確保等を図る
【適正な工期設定等に向けた発注者支援の活用】
▽工事の特性等を踏まえた外部機関(コンストラクション・マネジメント〈CM〉企業等)を活用
ガイドラインは、建設業への時間外労働の上限規制の適用に向けた取り組みの一つ。発注者や国民の理解を得るため生産性向上に業界を挙げて取り組むことを要請。その上で下請契約も含め適正な工期設定などを通じて適切な労務管理と働き方改革につなげ、魅力的な産業として将来にわたって担い手を確保していくのが狙い。
受発注者が相互理解と協力の下、取り組むべき事項を▽適正な工期設定・施工時期の平準化▽社会保険の法定福利費や安全衛生経費の確保▽生産性向上▽下請契約での取り組み▽適正な工期設定などに向けた発注者支援の活用-の五つにまとめた。
適正な工期設定では建設工事のすべての従事者が時間外労働規制に抵触しないよう、休日の確保や準備・後片付け期間の設定などに考慮するよう要請。国土交通省直轄の土木工事で導入している工期設定支援システムなどを参考に挙げた。週休2日の確保を考慮した工期を設定した場合、公共工事では共通仮設費など必要経費を請負代金に適切に反映。民間工事でも公共工事を参考に適切に反映するよう努めるとした。受注者は工期ダンピングを行わず、下請契約でも適正な工期を設定すると明記した。
受発注者の連携などを通じて建設生産プロセス全体で生産性向上を推進。受注者自らの一層の取り組みが不可欠だとし、ICT(情報通信技術)活用や技能労働者の多能工化などを積極推進するよう要請。発注者には、受注者の生産性向上に向けた取り組みや提案への理解と支援を求めた。
下請契約代金の支払いはできる限り現金払いとするよう要請。日給制の技能労働者などの処遇改善に十分留意することも明記した。
関係省庁は民間発注者団体に対し、適正な工期設定などに関する普及啓発に努める。官民の発注の実態や長時間労働の是正に向けた取り組みも含めてガイドラインの取り組み状況をフォローアップし、適宜内容を見直すことも盛り込んだ。
会議ではガイドラインの決定を受け、野上議長が「各省庁の直轄工事で徹底を図り、自治体や民間発注の工事にも浸透させるため、関係する行政機関や業界団体などに対し周知・徹底をお願いしたい」と要請。建設業が人材で成り立っている産業との認識を示した上で、「今後も長時間労働の是正や週休2日の確保に向けた取り組みを政府一丸となって強力に推進していく」と述べた。
適正工期設定ガイドラインの主な内容は次の通り。
■時間外労働の上限規制の適用に向けた基本的な考え方
【請負契約の締結に係る基本原則】
▽受発注者は法令を順守し、双方対等な立場に立って請負契約を締結
【受注者の役割】
▽受注者(元請)は下請も含め建設工事に従事する者が長時間労働を行うことを前提とした不当に短い工期となることのないよう、適正な工期での請負契約を締結
▽民間工事においては工期設定の考え方等を受発注者が適切に共有
【発注者の役割】
▽発注者は施行条件等の明確化を図り、適正な工期での請負契約を締結
【施工上のリスクに関する情報共有と役割分担の明確化】
▽受発注者は工事実施前に情報共有を図り、各々の役割分担を明確化
■時間外労働の上限規制の適用に向けた取り組み
【適正な工期設定・施工時期の平準化】
▽工期の設定に当たっては「建設工事従事者の休日(週休2日等)の確保」「労務、資機材の調達等の準備期間や施工終了後の後片付け期間」「降雨日、降雪・出水期等の作業不能日数」等の条件を適切に考慮
▽週休2日等を考慮した工期設定を行った場合には、必要となる共通仮設費等を請負代金に適切に反映
▽受注者は違法な長時間労働につながる「工期のダンピング」を行わない
▽予定された工期での工事完了が困難な場合は、受発注者双方協議の上で適切に工期を変更
▽発注見通しの公表等により施工時期を平準化
【社会保険の法定福利費や安全衛生経費の確保】
▽社会保険の法定福利費等の必要経費について、請負代金内訳書に明示すること等により、適正な請負代金による請負契約を締結
【生産性向上】
▽受発注者の連携により、建設生産プロセス全体における生産性を向上
▽受注者は工事現場のICT(情報通信技術)化等による施工の効率化を推進
【下請契約における取り組み】
▽下請契約においても、長時間労働の是正や週休2日の確保等を考慮して適正な工期を設定
▽下請代金は、できる限り現金払いを実施
▽週休2日の確保に向け、日給制の技能労働者等の処遇水準に留意
▽一人親方についても、長時間労働の是正や週休2日の確保等を図る
【適正な工期設定等に向けた発注者支援の活用】
▽工事の特性等を踏まえた外部機関(コンストラクション・マネジメント〈CM〉企業等)を活用
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