2017/09/29 国交省/下請の社保未加入、次数問わず元請に罰則/指名停止や成績減点、10月から

【建設工業新聞 9月 29日 1面記事掲載】

国土交通省は、直轄工事を施工する建設業者の社会保険加入徹底に向け、取り組みを一段と強化する。4月に施工業者を下請を含め加入企業に限定する措置を実施したのに続き、元請と直接の契約関係がない2次以下の下請が未加入で、猶予期間内に加入確認書類が提出されなかった場合、10月からは元請に違約罰を科し、指名停止措置や工事成績評定の減点も行う。

こうした国交省の動きに応じ、地方自治体でも加入促進策がさらに強化されそうだ。

建設業の社会保険加入促進の取り組みは、技能労働者の処遇改善による担い手確保と、適正に保険料を負担する企業による公平・健全な競争環境の構築を実現するのが目的。12年度から官民による未加入対策が本格化している。

国交省は14年8月から社会保険に加入していない元請業者を、15年8月からは未加入の1次下請業者も直轄工事から排除。この措置を今年4月から2次以下の下請業者にも拡大し、次数を問わず未加入業者は直轄工事に参入できなくした。

元請業者が発注者に提出する施工体制台帳で、未加入の2次以下の下請業者と契約したことが判明した場合、元請が加入指導する猶予期間(原則30日)を設定した。一定の条件を満たすと期間を延長でき、災害などの緊急時や書面での加入確約、特殊技能の保有など特別な理由があると、未加入業者でも下請契約を結ぶことが可能だ。

猶予期間内に加入確認書類が提出されなかった場合、発注者は建設業許可部局などに通報するとともに、10月1日以降に入札契約手続きを始める案件から受注者(元請業者)にペナルティーを講じる。

直轄工事の請負契約書を改定し、2次以下を含む下請を社会保険加入業者に限定する規定を新設。猶予期間内に加入が確認できなければ、元請に違約罰を科す。1次下請が未加入の場合は元請・下請契約の請負代金額の10分の1相当、2次以下が未加入の場合は下請・下請契約の請負代金額の100分の5に相当する額を違約金として、発注者の指定期間内に支払わなければならないと規定した。

受注者が作成して発注者に提出する請負代金内訳書に、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の加入に必要な法定福利費を明示する様式も作成。法定福利費の計算方法や留意点なども整理した。

国交省は直轄工事の新たな措置を現場に浸透させ、「これまで以上に社会保険の加入促進を図る」(官房地方課)としている。17年度の未加入対策の柱に自治体発注工事での対策徹底を打ち出しており、工事の参加者を加入企業に限定することや、加入原資となる法定福利費を工事の積算に適正に計上するといった取り組みが一段と広がりそうだ。

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