2018/06/18 政府/骨太方針・未来投資戦略・規制改革計画を決定/増税に備え景気対策費確保

【建設工業新聞 6月 18日 2面記事掲載】

政府は15日の臨時閣議で、19年度予算編成方針など示す「経済財政運営と改革の基本方針2018(骨太の方針)」と18年度版成長戦略「未来投資戦略2018」、「規制改革実施計画」を決定した。骨太の方針では、19年10月に予定する消費税引き上げに備える景気対策費を確保するとともに、単純労働での外国人労働者受け入れ拡大に向け、新在留資格を創設する方針を示した。

骨太の方針では、消費税引き上げで懸念される需要変動に機動的に対応するため、19、20年度の当初予算で景気対策費を確保する。公共工事に特化した増税対策では、地方自治体に年度を通じた施工時期の平準化と数値目標の設定を促し、過度な閑散期や繁忙期を防いで現場稼働率の改善や人材の確保を図る。

社会資本整備に充てる公共投資は、引き続き中長期視点で安定的・持続的に推進する。ストック効果を最大限引き出す戦略的・計画的な取り組みも進める。建設現場の担い手を確保し続けていくため、社会保険加入対策や適切な賃金水準の確保、週休2日制の実現、長時間労働の是正といった処遇改善を柱とする働き方改革に注力する。建設現場の生産性向上策i-Constructionも推進する。

労働人口の減少に対応し、単純労働で外国人労働者の受け入れを拡大する方針も示した。在留期間5年を上限とする新しい在留資格制度を創設する。要件として生活に支障がない程度の日本語会話能力、既存制度の技能実習制度修了など一定の技能水準を求める。家族の帯同は認めない。対象業種は明記していないが、技能労働者の大幅な減少が見込まれる建設業が加わる可能性は高そうだ。

未来投資戦略では、建設分野で新技術の導入を拡大する方針を示した。18年度に国土交通省の直轄工事1000件以上で人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)などを活用する新しい技術、工法、材料の導入を目指す。インフラ全般の維持管理では老朽化した重要構造物の点検や診断を対象に、ロボットやセンサーなどを導入する施設管理者の割合を20年ごろまでに20%、30年までに100%達成する新しい目標も設定した。

規制改革実施計画では、地方自治体の公共事業の競争入札参加資格審査を簡素化する方針を示した。都道府県や市町村ごとに定められた申請書の書き方や出し方を全自治体で統一する。18年度中に具体化へ向けた工程表を作る。

《骨太の方針・未来投資戦略・規制改革実施計画の要旨》

【骨太の方針】
△19年10月予定の消費税引き上げに備える計画対策費を19、20年度各当初予算で計上
△単純労働で外国人労働者受け入れを拡大するための新在留資格創設
△公共工事の施工時期は増税に伴う需要変動に対応し、数値目標設定による年度を通じた平準化推進
△公共投資は中長期視点で安定的・持続的に推進
△建設業の社会保険加入対策や適切な賃金水準確保、週休2日制実現、長時間労働是正
△防災・減災、国土強靱(きょうじん)化、東日本大震災など震災復興推進

【未来投資戦略】
△18年度に工事1000件以上でAIなど新しい技術、工法、材料導入
△インフラ全般の維持管理でロボットなど導入する施設管理者の割合を20年ごろまでに20%、30年までに100%
△建築確認手続きを19年度までにオンライン化
△新東名・新名神高速道路を6車線化

【規制改革実施計画】
△自治体公共事業の競争入札参加資格審査簡素化
△消費地近隣で植物工場を設置しやすくする立地規制緩和
△木造建築物を建てやすくする防火規制や内装制限の合理化

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