2020/02/19 国交省/労働者単位の社保加入対策強化/CCUS活用で作業員名簿の確認効率化

【建設工業新聞  2月 19日 1面記事掲載】

国土交通省は労働者単位での社会保険加入対策を強化する。建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録情報に基づき作成した作業員名簿で技能者一人一人の加入状況を効率的に確認できるよう下請指導ガイドラインを改める。加入逃れを目的とする社員(技能者)の「一人親方化」の抑制対策を来年度中に策定する。地域ごとに置く協議会を通じて、見積時や契約時に法定福利費を内訳明示する取り組みの徹底を図る。=2面に関連記事

18日に産学官で組織する「建設業社会保険推進・処遇改善連絡協議会」(会長・蟹澤宏剛芝浦工業大学教授)の第3回会合を東京都内で開催。10月1日施行の改正建設業法で企業単位の社会保険加入が措置されることを踏まえ、国交省は労働者単位の加入対策を強化する方針を示した。

改正業法では、これまで任意だった作業員名簿を施工体制台帳の書類の一つに位置付け、特定建設業者に対し作成と現場への備え置きを義務付ける。これを契機に、国交省は「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」を改正する。

ガイドラインは元請が新規入場者を受け入れる際、作業員名簿で各作業員の社会保険欄を確認するとしている。作業員一人一人の社会保険加入、未加入を効率的に確認する方法として、CCUSに登録された真正性の高い情報が活用できることをガイドラインに明記する方向。CCUSの登録データを活用した作業員名簿によって加入状況の確認強化を図る。

一人親方は法令上、社会保険の加入義務がない。事業主のため働き方改革関連法に基づく年次有給休暇の取得義務や、時間外労働の罰則付き上限規制なども適用されない。このため本来雇用すべき技能者の一人親方化を図る動きがある。

国交省は協議会の下に「規制逃れを目的とした一人親方化抑制対策に関する検討会」を設置する。学識者や建設業団体、行政などで構成。職種ごとに一人親方化の実態を把握し偽装請負の疑いがある一人親方の基準明確化、規制逃れを目的とした一人親方化の抑制対策を検討する。2021年2~3月に実効性のある施策を取りまとめる。

法定福利費を行き渡らせるため、見積書・請負代金内訳書での法定福利費内訳明示のさらなる徹底を図る。地方ブロックごとに設置している「建設業社会保険推進・処遇改善地方連絡協議会」(事務局・各地方整備局)などを通じ、内訳明示の徹底とフォローアップに取り組む。

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