2020/05/15 国土交通省より 建設業法施行規則等改正案が示されました。

国土交通省は、10月1日に施行が予定される建設業法施行規則及び施工技術検定規則の一部改正(省令案)についてパブリックコメントを掲載し、意見を求める。
建設業許可要件としての経営業務管理責任者の見直しや経営事項審査の改正等、6月に公布予定、10月1日に施行される。

改正案本文(パブリックコメント)
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155200311&Mode=0
1.改正の主なポイント
(1) 経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準及び提出書類
業種区分の廃止
・個人としての経営管理経験だけでなく、役員+補助するもの等組織としての経営管理能力でも評価
建設業以外の役員経験も一部経験として認められる
社会保険加入が許可要件に。全適用事業所での届け出が必要
(2) 事業承継に係る認可の手続
譲渡、合併、分割等における必要書類を明記
(3) 相続に係る認可の手続
相続での申請においての必要書類を明記
(4) 建設工事の請負契約締結に係る情報通信の技術を利用する方法
電子契約について、本人確認の措置が追加
(5) 工期等に影響を及ぼす事象
地盤の沈下・地下埋設物による土壌の汚染や、騒音・振動等が挙げられる
(6) 施工体制台帳の記載事項及び再下請通知を行う事項
工事従事者の氏名、年齢、社会保険加入、中退共・建退共加入等を追加
(7) 施工体制台帳の電子的な取扱
書面契約した契約書等の添付書類について電子データでの添付が認められる
(8) 施工体系図の記載事項
下請業者に関して、代表者の氏名、特定専門工事の該当の有無等が追加
(9) 特定専門工事を利用する場合の元下間の合意内容
上位下請会社の主任技術者が、下位下請業者の主任技術者を兼ねる場合の必要合意内容
(10) 特定専門工事の注文者の承諾に係る情報通信の技術を利用する方法
上記主任技術者の合意には情報通信の技術を利用する
(11) 監理技術者講習の有効期間の起算点の見直し
講習を受けた日の翌年の1月1日から5年間有効に
(12) 経営事項審査の審査項目に必要な知識及び技術又は技能の向上に取り組む技術者
及び技能者を追加すること
知識及び技術又は技能の向上が評価対象として加わる
(13) 経営事項審査の審査項目のうち「建設業の経理に関する状況」の見直し
建設業経理士加点には、登録建設経理講習の受講が必要
(14) 登録経理講習実施機関の創設
登録経理講習実施機関が新設
(15) 建設業者団体の取組に関する規定
建設業者団体の取組で、「処遇改善」「生産性向上」の支援等が追加
(16) 標識の記載事項の見直し
監理技術者補佐の配置について追加
(17) 帳簿の添付資料の電子化
帳簿等、現行で電子化が認められていない内容も電子化を認める
2.建設業許可要件見直しと、経営事項審査の見直しの要点

1)建設業許可要件の見直し

経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして①及び②の要件を満たすものとされます。
①適切な経営能力を有すること ・・ 経営業務管理責任者に関する合理化
②適切な社会保険に加入していること ・・ 社会保険加入が許可要件に

①経営業務管理責任者の合理化(適切な経営能力を有すること)

適正な経営能力を有するものとして、下記の(イ)又は(ロ)のいずれかの体制を有するものであること。
(イ)常勤役員等のうち一人が下記の(a1)、(a2)又は(a3)のいずれかに該当する者であること。
  ※常勤役員等:法人の場合は常勤の役員、個人の場合はその者又は支配人をいう。以下同じ。
 (a1)建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者
 (a2)建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として5年以上経営業務を管理した経験を有する者
 (a3)建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として6年以上経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者
「許可を受けようとする建設業」、「許可を受けようとする建設業以外の建設業」の区分が廃止されました。

経営業務管理責任者個人でなく、組織としての経営業務管理体制を有していれば、許可要件に該当することが追加されました。
以下(b1)又は(b2)を配置した場合は、(c1)(c2)(c3)に該当する者を置く必要があります。
管理業務として「財務管理」、「労務管理」、「業務運営」の3つと具体的な年数が示されました。

(ロ)常勤役員等のうち一人が下記の(b1)又は(b2)のいずれかに該当する者であって、かつ、当該常勤役員等を直接に補佐する者として、下記の(c1)、(c2)及び(c3)に該当する者をそれぞれ置くものであること。
  (b1)建設業の財務管理、労務管理又は業務運営のいずれかの業務に関し、建設業の役員等の経験二年以上を含む五年以上の建設業の役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位における経験を有する者
  (b2)建設業の財務管理、労務管理又は業務運営のいずれかの業務に関し、建設業の役員等の経験二年以上を含む五年以上の役員等の経験を有する者
  (b2)では、建設業以外の業種での財務管理、労務管理又は業務運営での役員等の経験も含まれるようになりました。

上記(b1)又は(b2)との組み合わせで、以下(c1)(c2)(c3)に該当するそれぞれの者を置く。同一人物が兼ねても可能です。
  (c1)許可申請等を行う建設業者等において5年以上の財務管理の経験を有する者
  (c2)許可申請等を行う建設業者等において5年以上の労務管理の経験を有する者
  (c3)許可申請等を行う建設業者等において5年以上の運営業務の経験を有する者
  ※(c1)(c2)(c3)は一人が複数の経験を兼ねることが可能

② 適切な社会保険に加入していること

健康保険、厚生年金保険及び雇用保険に関し、全ての適用事業所又は適用事業について、適用事業所又は適用事業であることの届出を行った者であること。
社会保険加入が許可要件となります。


2)経営事項審査の見直し

①経営事項審査の審査項目に必要な知識及び技術又は技能の向上に取り組む技術者及び技能者を追加することについて(第18 条の3関係)
経営事項審査の評価項目として、建設業者による技術者及び技能者の知識及び技術又は技能の向上の取組の状況を追加する。
「建設業者による技術者及び技能者の知識及び技術又は技能の向上」について、昨年の中建審では 建設キャリアアップシステムへの取組状況、継続学習(CPD)への取組状況が挙げられています。

②経営事項審査の審査項目のうち「建設業の経理に関する状況」の見直し(第18 条の3関係)
「建設業の経理に関する状況」の、評価項目を見直し、下記の者による建設業の経理が適正に行われたことの確認の有無を評価することとする。
・公認会計士又は税理士のうち国土交通大臣が定める講習を受講した者・登録経理試験に5年以内に合格した者及び登録経理試験に合格し、5年以内に登録経理講習を受講した者
・上記と同等以上の建設業の経理に関する業務を遂行する能力を有すると認められるものまた、建設業の経理に関する業務を遂行する能力を有するものと認められる者の数の評価対象についても、対象を上記に該当する者とすることとする。
W点の建設業経理士加点には、登録経理講習受講が必要となります(5年以内に合格した者を除く)
これまでは試験合格者であれば加点対象となっていました。

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