2020/07/02 国交省/施工平準化進まぬ自治体への対応強化/市町村に直接働き掛けも

【建設工業新聞  7月 2日 1面記事掲載】

国土交通省は地方自治体に対し、施工時期の平準化に向けた取り組みを加速させる。実態調査の結果を踏まえ特に人口10万人以上の市を対象に、債務負担行為の活用など具体策の充実と改善を促す。関係省庁や都道府県と協力・連携し、取り組みが遅れている市町村に国が直接働き掛ける。充実してきた先進事例や蓄積しているノウハウを体系化して「平準化ガイドライン」を策定。実務的な手引として活用してもらう。

国交省は公共工事入札契約適正化法(入契法)に基づく実態調査の結果をまとめ、平準化の進捗(しんちょく)・取り組み状況を数値で公表。都道府県、市区町村の全自治体の状況を「見える化」し、他の団体と比較できるようした。

平準化の取り組みが進んでいない人口10万人以上の市(136団体)に対し6月に個別ヒアリングを実施。▽財政部局・議会の理解▽交付金などの決定時期が遅い▽事業部局や他部局との連携▽小規模な工事の実態把握▽技術職員のノウハウや人員の不足▽地域特有の事情▽市町村との連携-といった課題を抽出した。

136団体のうち、7団体が平準化の取り組みを未実施。国交省は総務省と連携し、自治体の予算編成のタイミングに合わせて直接働き掛ける。個別理由を聴取しながら改善を促す。それでも改善されない団体に対しては、国交省による自治体への訪問などを含め対応を強化する。

人口10万人以上の262団体を平準化の取り組み別に見ると、「工期1年未満の工事で債務負担行為の活用」の未設定が165団体、「柔軟な工期設定」の未設定が226団体、「速やかな繰り越し手続き」の未設定が151団体。未設定も多く取り組みにばらつきもある。

国交省は未設定を減らすため事例を踏まえ分類した▽債務負担行為の活用▽柔軟な工期設定▽速やかな繰り越し手続き▽積算の前倒し▽早期執行のための目標設定-の5分野(平準化の先進事例「さしすせそ」)を周知。取り組みの充実と改善を積極的に促す。

自治体の土木部門以外(農林や教育など)の部局が発注する事業について平準化を促進。関係省庁に協力を依頼し通知文書を発出してもらう。市町村への働き掛けも強化する。各都道府県と管内市町村で構成する都道府県公共工事契約制度運用連絡協議会(都道府県公契連)と連携。市町村に対し直接、国から改善などを働き掛ける。

国交省は全自治体に対し、発注者の責務として平準化を進めるよう取り組みを加速化。事例集の内容を拡充して「平準化ガイドライン」(仮称)を策定。より分かりやすくノウハウや優良事例を提供し、取り組みを水平展開する。地域発注者協議会や地域ブロック土木部長会議、ブロック監理課長等会議、全国都道府県財政課長等会議など、さまざまな枠組みを活用。全体的な取り組みの底上げを図る。

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