2020/10/06 全建/災害時緊急対応、会員の4割弱が「5年後に人員不足」/担い手確保が急務

【建設工業新聞  10月 6日 2面記事掲載】

災害時の緊急対応で5年後に人員が不足する-。全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)が会員に行った調査で明らかになった。災害時などの緊急対応体制について、現在は人員を「十分確保している」と「必要最低限は確保している」の回答を合わせると約8割だった。一方、5年後は4割弱が「不足」に転じると回答した。高齢化が背景にあり、担い手確保が急務となっている。

調査は7~8月に実施。都道府県建設業協会の会員1097社が回答した。人員の状況は、「必要最低限確保している」との回答が現在の71・2%から5年後に57・1%、「十分確保している」が7・8%から4・8%と減少する。一方、「不足している」は21・0%から38・1%に増加する。「5年後は現在の3分の1が70歳を超えるため退職している可能性が高い」と、担い手確保の必要性を指摘する声があった。

機械の保有状況は、「必要最低限は確保している」が現在の74・6%から78・2%、「確保している」が10・6%から8・0%、「不足している」が14・8%から13・8%と、5年後も大きな変化は見られない。「リース機械利用の会社もあり、緊急時の対応ができるか疑問」と体制不備を危惧する意見があった。

積雪地での除雪業務は地域建設業の役割の一つ。回答した47・1%が除雪業務を「受注したことがある」と回答した。採算性については、平年並みの降雪量だと黒字が4割超となる一方、少雪時では赤字が4割弱となる実態が明らかになった。「人件費だけでも相当な金額となる」という意見や、少雪で稼働がない場合の最低保障、発注者からの除雪機械の貸与を求める声があった。

災害時の復旧工事の対応では、需給逼迫(ひっぱく)などによる労務単価や資機材の実勢価格と積算価格に乖離(かいり)が生じるケースがある。3割が予定価格の適切な設定が「されていない」と回答した。事業継続計画(BCP)は「策定している」が4割台後半、「策定予定」が2割だった。

人員・機材を維持する上で必要とする事業量を「十分確保している」「必要最低限は確保している」との回答を合わせると約6割。ブロック別では北海道・東北、中部、近畿は7割を超えているが、北陸は6割弱だった。

直近1年間の受注状況は、「悪くなってきた」「悪い」の合計が3割弱。利益状況も同様だった。ブロック別では北陸がともに悪化傾向が強く、事業量との相関関係が見られた。過去3年間に人員・機材を手放したもしくは縮小した企業は13・4%に上る。地域の守り手が機能するためには安定した事業量の確保が必要になるとして、国交省などに要望していく。

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