2020/11/13 日建連/デジタル工事写真の活用ガイド作成/基準改定受け、元データに重ね注釈可能に

【建設工業新聞  11月 13日 1面記事掲載】

日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)は、施工管理のデジタル写真の活用ガイドを作成した。国土交通省の「デジタル写真管理情報基準」が3月に改定され、写真ファイルの記録形式がJPEG以外に広がり、一つのファイルで複数の画像を重ねて配置できる「レイヤ」機能の使用が可能となった。改定内容や対応ツールを用意しているベンダーを紹介し、工事写真のレイヤ化を促していく。

国交省の基準改定で写真ファイルの記録形式は「JISに示されるJPEGやTIFF形式など」と規定された。ウェブデザインなどに使われる「SVGファイル形式」が使用できるようになった。

撮影画面に小黒板を投影しながら1人で撮影できる「電子小黒板」の活用が広がっている。今回のレイヤ機能の拡張により、マーカーや図形、テキスト、寸法線といった写真だけでは説明できない情報を補える。

配筋検査写真の場合、これまで印を付けるためカラーマグネットなどを鉄筋に貼り付けて撮影していた。撮影後にマーカーの追加や編集作業ができるため、工事写真の撮影に追われる時の利便性が高まる。

対応ツールは▽建設システム▽現場サポート▽MetaMoJi▽福井コンピュータ▽ワイズ-の5社が発売済みまたは2021年に販売を予定している。電子納品にも対応する。元データの写真や電子小黒板にはこれまで同様、改ざん防止機能が組み込まれる。

日建連ホームページで12日にガイドを公開した。取りまとめに当たった土木工事技術委員会の担当者は工事写真のレイヤ化を「DX(デジタルトランスフォーメーション)の一つのツール。生産性を飛躍的に向上させることになる」と期待を込める。

別の担当者は基準の改定により、「施工状況写真は動画や全天球カメラ画像に置き換わる可能性がある」と工事写真の在り方の変化を予想する。コロナ禍で進んだ遠隔立ち会い検査やVR(仮想現実)を活用した打ち合わせなどへの展開も想定されるという。

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